ザ・クラッシュのジョー・ストラマーが日本の若者に残した最高にクールな言葉とは…印税を放棄してまでファンを優先した男の生涯

ファンのことを考えてアルバムに36曲も詰め込む

『ロンドン・コーリング』の成功の後にリリースしたザ・クラッシュのアルバム、『サンディニスタ』に36曲も詰め込んだのも、1枚分のお金でできるだけ多くの曲を聴けるようにしたいと、ファンの負担を考慮していたからだった。

そのためには自分たちの受け取る印税を放棄してまで、レコード会社にアルバムの価格を下げさせる交渉をした。

常にファンや社会的弱者のことを優先し、守りに入ることなく挑戦し続けて、愚直なまでに前に進む。

そして、何よりも音楽で世界を変えていく。

こんなミュージシャン、アーティストは稀だ。

そんなジョーは最後までその姿勢を何一つ変えることなく、2002年12月22日、心臓発作により50歳で突如その生涯を終えた。

最後はザ・クラッシュのアルバム制作を手掛けた、エンジニアでプロデューサーのグリン・ジョンズが書き残した言葉で締めたい。

「彼の誠実さは、私がこれまで出会ったなかで間違いなく指折りだ。才気煥発で、見るからに自らの成功に微塵も酔っていなかった。誠に素敵な、才能に溢れる男。2002年12月、彼の他界は音楽社会にとって多大な損失だった」

文/佐藤剛 編集/TAP the POP サムネイル/1999年11月20日発売『コンバット・ロック』(SonyMusic)

参考文献
『リデンプション・ソング ジョー・ストラマーの生涯』(シンコーミュージック・エンタテイメント)
ハービー・山口『雲の上はいつも青空』(玄光社)
グリン・ジョンズ『サウンド・マン 大物プロデューサーが明かしたロック名盤の誕生秘話』