遠方に出かけると、私(佐藤)は可能な範囲で家電量販店を覗くようにしている。なぜかというと、見知らぬ格安イヤホンに出会えるかもしれないからだ。未知なるイヤホンは意外なところに眠っている! そう信じて、最近もジョイフル本田のサブブランド「ジョイホン」を訪ねてみた。
そうしたところ、ヨドバシなどでは見かけなかったパナソニックの製品を発見。独特な造りをした、ステレオインサイドホン「RP-HJE165」(購入価格税込968円)に遭遇したのである。その聞き心地を確かめたら、独特ゆえの扱いづらさに気づいてしまった……。
・独特な構造
製品を購入したのは、栃木県小山駅前のジョイホンである。
このお店はジョイホンの1号店で2022年にオープンしていた。同じくサブブランドの作業着店「本田屋」には訪ねたことがあったが、古くから親しまれている略称(ジョイホン)をそのまま名前にしてしまった店舗があるとは知らなかった。
ちなみにここは本田屋と、それからジョイフル本田と提携しているスーパーの「ジャパンミート」も併設している。
さて、製品の仕様を確認してみると、再生周波数帯域は10~2万4000ヘルツだ。音のレンジが広いので、コレは良い音かも!?
中身はイヤホン本体とイヤーピースがS・M・Lの3サイズ。それからコードの長さを調整できるアジャストホルダーが付いている。
まずは一言いわせて頂くぞ。こんなにグルグル巻きにしてたら、コードに曲がり癖がつくでしょうが! 絡みにくい構造を採用してるらしいけど、それにしたって「キレイに伸びないでしょうに!」と思ってしまう。
そんでまあ、イヤホン自体は細長い形をしている。「ロングポート構造」と呼ばれる造りで、耳の奥までしっかり音を届けるってことらしい。
この独特な造りが少々厄介でね。というのは、イヤーピースが細長いので、Mサイズのイヤーピースがフィットしない。合う人だっているのだろうが、私の場合は耳穴にピッタリ来ないのである。
そこでイヤーピースを大きいものに変えようと思って外してみると、ポートがノズルのようになっていた。なるほど、この仕組みが肝ってわけだな。
で! 外したはいいけどLサイズが装着できん! 細長いため、上手くイヤーピースを被せることができんのじゃあ~。なんでこんな形にしたんだよ。
結局、10分格闘した末にLサイズを断念。元々ついていたMサイズはすんなり装着できたので、耳穴スポスポ状態で聞き比べせざるを得なかった……。
(広告の後にも続きます)
・聞き比べ
今回使用する曲はニッケルバックの『Animals』である。ニッケルバックは、全世界で5000万枚を売り上げるカナダのロックバンドだ。これまでに9枚のスタジオアルバムをリリースしており(2024年12月時点)、そのセールスは世界でもトップクラス。絶大な人気を誇るモンスターバンドである。
この曲は5枚目のアルバム『All The Right Reasons』に収録されている。ソリッドなギターリフで始まり、疾走感のあるビートで最後までかけ抜けていく。シンプルにして王道のロックナンバーだ。もし私がバンド現役ならコピーするに違いない。
まずは、当連載のランキング1位である「ハイユニット HSE-A1000」から聞いてみると、曲の持つ爽快感をそのままダイレクトに鼓膜に届けてくれる。とくにドラムのビートが耳に心地いい。
続いてパナソニックでも聞いてみよう。
ロングポート構造は低音域を豊かに響かせるためのものだ。それがある意味で裏目に感じられる。全体のバランスはある程度整っているけど、ややモコモコとした音鳴りがする。
音の輪郭がやや不明瞭と言わざるを得ない。イヤーピースは変えづらいし、音抜けもあまり良くないので、順位変動には至らないなあ。ってことでベスト3はそのままです。
1.アルペックス(Hi Unit)「ハイユニット HSE-A1000(PK)」 税込712円
2.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」 税込821円
3.DENON「AH-C260」 税込927円
次回あたりから、格安無線イヤホンもレビューしていきたいと思う。だって、ハイユニットに勝てる製品が出てこないから、これ以上この価格帯(1000円以下)で比較しても、変化が生まれないんだものなあ。ってことで、ぼちぼち無線もやって行きますので、そこんとこヨロシク!
執筆:格安イヤホン評論家 佐藤英典
Photo:Rocketnews24