絶好調AZで幅を利かせる日本代表が、欧州でも“滅多にいないSB”へと進化中!怒涛の2024年を終えて「もう一度自分を見つめ直したい」【現地発】

 12月21日、AZはトゥベンテに1-0で競り勝った。この結果、両チームの順位が入れ替わり、AZが5位に浮上している。
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 12月に入ってから好調を維持する右SB毎熊晟矢は、トゥベンテの左サイドにいる選手がボールを持つと、ピッチの高低関係なくボールを奪いに行った。トゥベンテの左SBサラ・エディンがゴールライン際でパスを受けても、毎熊が猛然とアプローチしてコーナーまで追い込んだ。AZの右サイドのプレスは毎熊が起点――と感じられたほどの勢いだった。

「ミーティング通りのプランでした」

 決勝ゴールは48分、左ウイングのルベン・ファン・ボメルの強烈なシュートをGKが弾いたところを、CFトロイ・パロットがヘッドで押し込んで生まれた。毎熊の好プレーはゴールシーンのひとつ前のプレー。自陣からビルドアップの際、毎熊はMFの脇に生まれたスペースに位置を取り、GKオブス・オドゥロからのパスを引き出すとワンツーで敵陣まで一気に侵入しスルーパス。このパスは味方に通らなかったものの、続くスローインから値千金のゴールをもぎ取った。

「日本でも“あの形”で、中で受けることも多かった。うまくスペースに立てることができて、それをキーパーが見つけてくれました」
 
 サイド、ハーフスペース、陣形の中央、相手のゴール真正面…。サイドバックに多くのタスクが課せられる近代サッカーだが、ここまで多岐に渡ってスムーズにプレーをこなす毎熊のようなサイドバックは滅多にいない。

「僕は中でやることも好きです。でもサイドハーフが中でプレーしたい選手だったら、僕は外でもできるので、どっちでも普通にやることができます」

 失点したトゥベンテが守備の枚数をどんどん削り、怒涛の反撃を開始しても、AZの右サイドは崩れない。毎熊は「こっちサイドからあまりやらせずできたと思います」という手応えとともに、最後の15分間の守り切りを控えのカシウスに託してベンチに下がった。こうして毎熊の怒涛の2024年が終わった。

「ELで点を決めましたけれど、リーグ戦ではゴール、アシストといった目に見える数字を残すことができず、思い描いていた通りにはなりませんでした。ゴールに繋がる“その前の”というのはありましたが…。ウインターブレイクでリフレッシュして、もう一度自分を見つめ直したいです」
 ELのゴールとは12月12日、ルドゴレツ(ブルガリア)戦で右からの折り返しを、左足で巧みに合わせてゴール左隅に蹴り込んだもの。左ウイングのルベン・ファン・ボメルとのエピソードを交え、毎熊がAZ移籍後の公式戦初ゴールを振り返ってくれた。

「やっとひとつ、取れたな、というのがありました。アップが終わった後に、ルベンがいきなり『今日はお前が点を決める』と言ってきたので、冗談っぽく『お前がアシストしてね』と話しましたけど、1点目はルベンが決めたので『お前が決めたじゃないか』『俺が決めちゃった』みたいなのをお互いに言ってました。それから自分が2点目を決めたので、ルベンに抱きつきに行ったんです。決めた直後も試合後も『だから言っただろ』と話してました(笑)」
 
 12月18日のKNVBカップ、対フローニンゲン戦(3-1)では出場予定がなかった毎熊だが、左SBのメラー・ウォルフェがアップ中に体調を崩し、急きょ28分からピッチに入った(ポジションは右SB)。

「左SBの選手が準備していたんですが、アップが終わるギリギリに、コーチから『お前が準備しておけ』と言われて出番があったので、ビックリしました」

 こんなアクシデントのなかでも、しっかりプレアシストで2-1の勝ち越しゴールに関与した毎熊。25年はプレアシストばかりでなく、アシスト、ゴールとより目に見える形での成果を残すと誓った。

取材・文●中田 徹

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