高卒アルバイトの22歳女性が年商20億の会社社長に大抜擢。古参社員も全員納得の当たり前すぎる「選ばれたワケ」とは【2024 ビジネス記事 1位】

他の人にできない、社長の仕事ができる人

――会長との密なコミュニケーションが原体験としてあるのですね。やはり“お気に入り”だったんでしょうか?

諸沢 確かに私だけかどうかはともかく、お気に入りの子を強くフォローしているのでは? と思っていました。でも社長へのオファーを受けて西牧に同行するようになってわかりましたが、社員全員に同じようにフォローしていたんです。

日報のフォローはもちろん、店舗を回って全員に必ず「困ったことある?」と聞いていて。特に、元気そうで自分からは悩みを言ってこなさそうなスタッフにも聞くということに驚きました。「窓口を広げておかないと言ってこられない人もいるんだ」と。

商品で差を出せないフランチャイズでは、人材や店舗運営で差を出さなければならないので、こういう細やかなフォローが社長として大きな仕事なのだなとわかりました。私も社員全員と関わりがある社長でいたいと思っています。

実は社長就任前に店長経験をするために、3ヶ月間弊社で一番忙しい店舗で店長をさせてもらったんです。あまりにつらくて、泣きながら調理してヘトヘトで帰って「自分が一番できないのに店長ってなに?」と考える毎日でした。その経験があるから、もっとスタッフの気持ちに気がつけるようになりたいです。

(広告の後にも続きます)

一番身近な母を喜ばせることができた

――ところで、古参の社員を抜いての社長への抜擢、社内の反応はどうでしたか?

諸沢 はい、もっと反対意見が上がってくると思いました。でも今まで特に感じたことはなくて、むしろなにもできない私をサポートしてもらっています。

広報 みんな納得しました。西牧がやってきた人材フォローをできる人は他にいませんでした。「接客スペシャリスト」もみんな取っていないわけですしね。

信用できる人に社長の仕事を教えるほうが、他の会社からベテランを引き抜いてくるよりも、早くて安心だと西牧が言っていて、それには私も共感しました。

諸沢はとにかくマメなんです。400人以上いる社員の日報のコメントを全部読み、コメントもしています。

諸沢 照れますね(笑)。私は他の人と違うと思ったことはなくて、ただ楽しいことを自由にやらせてもらってうれしいだけなんですよね。

――これからの目標はいかがですか。

諸沢 弊社の理念に共感して働いてきたので、同じ思いで働いてくれるスタッフを増やし、店舗を増やしていきます。具体的なところでは、CoCo壱番屋フランチャイズの店舗数では弊社が3位なので今後10年で1位を目指しています。

――諸沢さんご自身の目標はありますか?

諸沢 夢がなかったと言いましたが、社長就任を伝えたときに母が「莉乃は小さいとき『お母さんに毎日ハンバーグと唐揚げを毎日食べさせる社長になる』って言ってたよ」と言っていました。一応メニューにはあるので叶えたことになりますね(笑)。

でも私にとっては社長がゴールなのではなく、より多くの人を喜ばせるための道の途中なんです。一番身近な母を喜ばせることもできたので、さらに多くの人のために汗をかくことを追求していきたいです!

取材・文/宿無の翁 写真/集英社オンライン編集部