昨季のオクラホマシティ・サンダーは、ウエスタン・カンファレンス首位の57勝25敗(勝率69.5%)でレギュラーシーズンを終え、1984年以降では歴代最年少となるロスター平均23.4歳の若さでカンファレンス1位になった。
するとチームは今オフ、トレードでウイングのアレックス・カルーソ、FA(フリーエージェント)戦線でビッグマンのアイザイア・ハーテンスタインを加え、今季も現地時間12月21日(日本時間22日、日付は以下同)を終えた時点で22勝5敗(勝率81.5%)とウエスト首位に立っている。
2位のメンフィス・グリズリーズ(20勝9敗/勝率69.0%)とのゲーム差は3.0。イースタン・カンファレンス1位かつリーグトップの25勝4敗(勝率86.2%)を誇るクリーブランド・キャバリアーズとも2.0ゲーム差で、リーグ全体2位の好成績を残している。
17日に行われたミルウォーキー・バックスとのエミレーツNBAカップ2024決勝こそ81-97で落としたものの、この試合はレギュラーシーズンの戦績には含まれていないため、サンダーは現在7連勝中。直近12戦の11勝1敗は驚異的な戦績と言っていい。
そのサンダーにはシェイ・ギルジャス・アレキサンダー、ジェイレン・ウィリアムズ、チェット・ホルムグレン(右骨盤骨折で離脱中)という主軸がいるのだが、それぞれの役割を着実にこなすロールプレーヤーたちが豊富に揃い、チームを支えている点も見逃せない。
特に注目したいのがチーム最年長(30歳)のカルーソと、先発の一角を担うルージェンツ・ドート。どちらもドラフト外でNBA入りし、2WAY契約から本契約を勝ち取った苦労人ながら、リーグで自身の立ち位置を確立している。
20日のマイアミ・ヒート戦を控えたシュートアラウンド時、カルーソは2019年にドラフト外から這い上がってきたドートをこのように称えていた。
「プライドがあるのは確かだね。ルーは2WAY契約から本契約を勝ち取ったことで、僕と似たようなキャリアを歩んできた。今の彼はリーグで信頼のおけるディフェンダーの1人に成長したんだ。それは誰もが知っているし、彼を象徴している。彼の持つ自信のレベルはすごいもので、オフェンスとディフェンスを問わず、長期間においてこのチームを助けるプレーをしている」
196cm・84kgと比較的細めなカルーソは、今季19試合の出場で平均20.2分、5.7点、2.9リバウンド、2.4アシスト、1.9スティールを記録。一方のドートは193cm・100kgと屈強なフレームを持ち、27試合の出場で平均29.4分、10.1点、4.6リバウンド、1.7アシスト、1.3スティールをマークするほか、3ポイント成功率40.5%(平均2.2本成功)ではキャリアハイの数字を残している。
マッチアップ相手にしつこく付きまとい、味方のカバーに入るなどチームディフェンダーとしても率先して動き回る両者は、ルーズボールやリバウンド争いでも跳び込んでいく。ケガと隣り合わせの危険なプレーであろうと、彼らは常に献身的な姿勢でチームを助けている。
先発組のドートとリザーブでローテーション入りするカルーソは、練習時でも激しくやり合っているとカルーソは言う。
「楽しくはないね。彼は僕らをつらい目に合わせるんだ。そこが彼を有能な選手にしたんだけどね。今年、僕はオフェンスで彼の良い面をこれまでよりも少し多く見ることができている」
サンダーはカルーソとドートだけでなく、エース格のギルジャス・アレキサンダーやウィリアムズなど主軸もディフェンスで手を抜くことなくこなしていて、ディフェンシブ・レーティング103.0、ネット・レーティング+11.7でいずれもリーグトップ。第3クォーター終了時点でリードしていれば22勝1敗と圧倒的な強さを誇っており、相手を109点以下に抑えた試合では20戦負けなしだ。
オフェンシブ・レーティング114.7もリーグ8位と高水準で、直近7試合で見れば同4位の117.8と勢いを増している。それだけに、サンダーがこのままウエスト首位を快走していくのではないだろうか。
文●秋山裕之(フリーライター)
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