12月20日から12月22日までの全国映画動員ランキングが発表。先週、2024年公開の日本映画としては第3位のオープニング成績を上げて初登場1位を勝ち取った『はたらく細胞』(公開中)が、今週も絶好調をキープ。週末3日間で観客動員38万6000人、興行収入5億3200万円を記録し、2週連続No. 1を達成。累計ではすでに動員128万人&興収17億円を突破している。
■『モアナ2』と『ムファサ』、ディズニーのビッグタイトルが上位を席巻!
実写を凌駕した映像技術で話題を呼んだ“超実写版”。今作ではさらに進化! / [c]2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
年内最後の大作ラッシュとなったこの週末。初登場でランクインを果たした4本の新作タイトルのなかで最上位となったのは、世界中でメガヒットを記録した“超実写版”『ライオン・キング』(19)の続編にして前日譚を描いた『ライオン・キング:ムファサ』(公開中)。初日から3日間で動員24万7000人、興収3億6700万円を記録して3位スタートとなった。
前作が2019年の夏休みに公開され、祝日を含む初日4日間で動員98万4000人&興収14億5000万円というロケットスタートを飾ったことを考えると、今回の数字は決して高いものではないかもしれない。その前作は、同日公開の『ONE PIECE STAMPEDE』(19)の後塵を拝して2位スタートとなり、翌週に初週末対比85%以上の好成績をあげて首位に浮上。最終的に興収66億7000万円までのぼりつめることとなった。
前作のようにねばり強い興行で首位浮上なるか / [c]2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
しかも振り返ってみれば、その前作の公開時期は近年稀に見る“ディズニー無双”のタイミング。6月に公開された実写版『アラジン』(19)、7月に公開されたピクサーの『トイ・ストーリー4』(19)がいずれも興収100億円を超えるメガヒットとなり、その勢いのまま公開。同じ配給会社の作品は基本的に本編直前に予告映像が流れる決まりがあることから、それぞれの作品を観にきたディズニー好きの客層に的確にリーチし、かつ実写を超える映像クオリティの“超実写版”という物珍しさも相まって先述のような爆発的なオープニングにつながったと考えることができる。
今回の場合は『モアナと伝説の海2』(公開中)とわずか2週間差での公開。その『モアナ2』はこの週末も観客動員27万2000人、興収3億6600万円をあげて2位をキープし、累計成績では動員177万人&興収24億円を突破。もちろん前作のように100億クラス2本からの強力な流れがあるわけではないし、公開間隔が詰まっていることはひとつのハンデになり得る点だが、今作もディズニータイトル同士の相乗効果が充分にねらえそうだ。ここから本格的な年末年始戦線がスタートするとなれば、『モアナ2』も『ムファサ』も驚異的なねばりを見せてくれることだろう。
【写真を見る】勢いが止まらない『モアナ2』。今週も2位をキープし、累計動員177万人&興収24億円を突破! / [c] 2024 Disney. All Rights Reserved.
■『忍たま』は4位、『聖⭐︎おにいさん』と『【推しの子】』は?
4位に初登場を果たしたのは、1993年にNHKでテレビアニメの放送が開始されて以来、実写映画やミュージカルなど様々なメディアミックスが展開してきた「忍たま乱太郎」シリーズの13年ぶりの長編アニメ映画作品となった『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』(公開中)。
多くのファンから愛される「忍たま乱太郎」の13年ぶりの劇場版がランクイン! / [c]尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会
全国328館で公開を迎え、初日から3日間で動員18万4000人、興収は2億6300万円を記録。先行上映を含む累計成績では動員19万8000人&興収2億9500万円と、興収3億円到達も目前。配給元の松竹の発表によれば、初日の興収は他の作品を上回っているようで、それだけ「忍たま」ファンの熱量の高さをまざまざと窺うことができよう。
2011年に公開された前回の長編アニメ映画の最終興収はすでに上回っており、近年の日本のアニメ映画の傾向を踏まえると、リピーター戦略でさらなる伸びも見込める。12月27日(金)からは入場者プレゼント第2弾として、描き下ろしイラストカード(全2種)の配布も決定している。強力な上位3タイトルと共に、年末年始を牽引することになるだろう。
福田雄一監督の最新作『聖☆おにいさん』は6位にランクイン / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
過去にテレビアニメ化もされた中村光の人気ギャグ漫画を、福田雄一監督と松山ケンイチ&染谷将太のタッグで実写化した2018年の配信ドラマの劇場版『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』(公開中)は6位にランクイン。
そして7位には、社会現象を巻き起こした原作:赤坂アカ、作画:横槍メンゴの人気コミック「【推しの子】」の実写化プロジェクトの劇場版となる『【推しの子】-The Final Act-』(公開中)が初登場。11月下旬にAmazon Prime Videoでドラマシリーズが配信されており、今回の劇場版はその続編。このように有料サービスでの配信ドラマと劇場版が連動する試みは、今後増えていくのだろうか。
ドラマ版の配信から1ヶ月経たずに劇場版が公開となった『【推しの子】-The Final Act-』 / [c]赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・東映 [c]赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・2024 映画【推しの子】製作委員会
以下は、1~10位までのランキング(12月20日〜12月22日)
1位『はたらく細胞』
2位『モアナと伝説の海2』
3位『ライオン・キング:ムファサ』
4位『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』
5位『劇場版ドクターX』
6位『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』
7位『【推しの子】-The Final Act-』
8位『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』
9位『正体』
10位『クレイヴン・ザ・ハンター』
今週末は、日本発のゲームから生まれた人気キャラクターを主人公にした「ソニック・ザ・ムービー」シリーズの第3弾『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』(12月27日公開)、「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の200年前の物語を描く神山健治監督の長編アニメーション『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』(12月27日公開)などが控えている。
文/久保田 和馬