「2025年東宝配給作品ラインナップ発表会見」が12月23日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、同社が今年の傾向や来年のラインナップを発表した。
会見には、同社の取締役専務執行役員の市川南、執行役員の吉田充孝、上田太地、宣伝部長の是枝宗男、映画企画部長の臼井央が出席した。「東宝として充実した1年になった」と口火を切った市川は「『ゴジラ-1.0』が全世界的に大ヒットをした。アメリカのアカデミー賞では『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞、『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞した」と海外での成果について言及。この2本だけではなく、「アニメーションだけではなく、日本の実写映画の可能性を感じた年」だという。
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興行成績に目を向けてみると、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』が158億円、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が116.4億円、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が63.2億円と、人気漫画が原作のアニメーションが存在感を発揮したことに加え、『キングダム 大将軍の帰還』が80.3億円、『ラストマイル』が59.1億円、『変な家』が50.7億円を突破。6本の作品が50億円に到達し、そのうちの半分は実写映画となった。2024年は、邦画・洋画あわせた業界全体の年間興収は2000億円前後とのこと。東宝は昨年の12月から11月まで29本の作品を配給し、13本のTOHO NEXT配給作品が公開となった。あわせた興収は900億円を超え、東宝の記録として「500億円超えは21年連続、600億円超えは13年連続。この年間興収は、歴代1位の成績になります」と市川。2位は『君の名は。』と『シン・ゴジラ』が大ヒットを果たして、年間興収が854億円に達した2016年だといい、「これを超えることがあるんだろうと思っていましたが、これを超えた。初の900億円台に到達した年になった」と充実感をにじませた。また実写とアニメーションの比率は、52.5%がアニメ、47.5%が実写だったと続けた。
アニメーション、実写共に存在感を発揮した1年だという
2025年は27作品を配給するという。市川によると、来年も「アニメーションが充実している」とのこと。この日、製作が発表された細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』(2025冬公開)をはじめ、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』(2025年公開)が控えているほか、『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』(2025年4月18日公開)、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』(2025年3月7日公開)、『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』(2025年夏公開)といったシリーズものもお目見え。さらに『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』(2025年1月17日公開)、『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』(2025年公開)など個性豊かな作品群が並ぶ。
市川は、実写も「バラエティに富んだラインナップ」と自信をのぞかせつつ、意欲的に自社制作作品にも挑んでいると話した。脚本家の坂元裕二と塚原あゆ子監督が初タッグを組んだ『ファーストキス 1ST KISS』(2025年2月7日公開)や、矢口史靖監督が長澤まさみを主演に迎えた『ドールハウス』(2025年初夏公開)といったオリジナル脚本の作品にも注目してほしいとアピール。『ゴジラ-1.0』で数々の快挙を成し遂げた山崎貴監督によるゴジラの新作映画も、引き続き期待してほしいと語っていた。
取材・文/成田おり枝