この画像の中央、一見すると何もないように見えるかもしれません。しかしよく見ると、うっすらと何かがあるのが分かります。「ドナティエロII」として知られる新たに発見された矮小銀河が、そこには映っています。画像はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されました。

ドナティエロIIは、銀河の候補を探索するためのアルゴリズムをすり抜けて見落とされてしまった銀河の1つです。昔ながらの、人力で探すという方法で発見されました。

発見の元になったデータは、「ダークエネルギーカメラ(DECam)」を使って行われたダークエネルギーサーベイ(DES)によるものです。DECamは、南米チリ北部のセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に搭載されている5億7000万画素の広視野カメラ。DESは、宇宙に存在すると考えられている正体不明の「ダークエネルギー」の解明に向け、2013〜19年にかけて行われたサーベイ観測です。

ドナティエロIIは、アマチュア天文家のGiuseppe Donatiello氏がDESのデータから探し出した、非常淡い3つの銀河(ドナティエロII、III、IV)のうちの1つです。3つはいずれも、渦巻銀河NGC 253の伴銀河(衛星銀河)です。


こちらはドナティエロII周辺を、オリジナルの解像度のまま切り抜いたものです。

画像はハッブル望遠鏡のACS(掃天観測用高性能カメラ)で撮影されたもので、2023年2月6日にハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開されました。

Image Creidt: ESA/Hubble & NASA, B. Mutlu-Pakdil
Acknowledgement: G. Donatiello

(参照)ESA/Hubble