『機動戦士ガンダム』に登場するザクレロという機体を覚えているでしょうか。見た目の強烈なインパクトで視聴者の度肝を抜いた個性派モビルアーマーは、劇中では少々不遇な扱いを受けましたが、実は意外な場所で戦果を挙げていました。



インパクトあふれるメカデザインが印象的なザクレロ。画像は「1/250 1/550 ザクレロ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

【画像】え、こんなザクレロもあるの? ガンダム派生マンガで描かれた衝撃の後継機体

初代ガンダム屈指の個性派メカの意外な見せ場とは?

『機動戦士ガンダム』には、実に多彩なモビルスーツやモビルアーマーが登場します。スタイリッシュな主役機から、ヘンテコな見た目をした個性派メカまで多種多様ありますが、とくにエキセントリックなビジュアルで視聴者の目を引いたのが、モビルアーマー「ザクレロ」ではないでしょうか。

 TVアニメの第32話「強行突破作戦」に登場したザクレロは、試作段階で放棄された機体で、ジオン公国軍のデミトリー曹長は上官の仇をとろうと勝手に乗り込んで出撃します。

 しかしザクレロは、想像以上にあっけなくアムロのガンダムに敗北しました。登場シーン自体、ほんのわずかでしたが、ザクレロは視聴者に強烈なインパクトを与えたのです。

 その後TVアニメ内にザクレロが登場することはなく、劇場版のほうでは出番そのものがカットされてしまい、完全になかったことにされた不遇な機体でした。

意外な場所でザクレロが活躍!?

 アニメでは、そのような残念な扱いを受けたザクレロですが、実はかつて「富士急ハイランド」に設置されていたアトラクション「GUNDAM THE RIDE -宇宙要塞A BAOA QU-」にて、重要な役割を担っていたことをご存じでしょうか。

 これはア・バオア・クーを巡る戦いを舞台にしたアトラクションで、連邦の「サラミス」級を改装したフジ級輸送艦「スルガ」が、突如ジオン軍の攻撃を受けるというストーリーになっています。そして乗艦していた宇宙移民や乗組員がスペースランチで脱出した直後、輸送艦スルガは撃沈されるのです。

 このときスルガを撃沈するのが、何を隠そうザクレロの攻撃でした。

 余談になりますが、フジ級輸送艦スルガの艦長を務めていたのは『機動戦士Zガンダム』に登場する「ヘンケン・ベッケナー」です。

 このアトラクションの設定によれば、一応ザクレロはア・バオア・クーの戦いに参戦していたことになります。TVアニメや劇場版では描かれなかったザクレロの消息を知ることができて喜んだファンもいるのではないでしょうか。

 なお安彦良和氏が描いた人気マンガ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でもザクレロはしっかり量産化され、ソロモン宙域に配備されていました。

ザクレロの発展機、後継機の存在も

 メカニックデザイン企画「MSV-R」、ゲーム、マンガ、小説などには、ザクレロの流れを汲んだ発展機まで登場します。ニュータイプ専用モビルアーマー「ブラウ・ブロ」の有線ビーム砲やサイコミュなどをザクレロに搭載した「ブラレロ」、アクシズがザクレロを元に開発した「ガザレロ」、小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場するジオンの残党が開発した「ウムガルナ」など、ザクレロの系譜はしっかりと続いています。

 ザクレロはアニメ本編での扱いは散々なものでしたが、あの大きな口を開けた顔のような個性的なビジュアルが、いまだに忘れられません。今回紹介したTVアニメ以外の設定がどこまで公式扱いになっているのか分かりませんが、新たにガンプラが出るなら「喜んで買う」という筆者のような人は少なくないはずです。

 ガンダムファンの間で散々イジられ、ネタにされてきたザクレロですが、それは愛情表現の裏返しなのかもしれませんね。