LMSを使った新しいメディアの可能性
明石氏:
これこそがLMSを使った新しいメディアの可能性だと思っていて。もしTBSや他のテレビ局に採用されて、うまくいったらお金くださいね(笑)。さて、この映像はバレーボールの予選を観客席から撮影しているYouTube動画です。これをアップしているのは、浜松在住のバレーボールファンの方で、県内で行われた試合しか投稿されていません。
テレビ局が渾身の思いでアップしたコンテンツが、YouTubeで1万回以上も再生されることは珍しいですが、このバレーボールの定点カメラの動画は投稿から約3週間で1万回2000回もの再生数になっているんです。すごいですよね。
僕が好きな作家、村上龍の「希望の国のエクソダス」という小説があるんです。この小説はSFプロトタイピング的な側面もあり、これから起きるべきことがすでに小説の中に現れているのです。仮想通貨も予言されたりしています。さて、この小説の中で、全国の中学生がある日、一斉に不登校になり、メディアを作り始める話が描かれています。
この小説の中で描かれる「ナマムギ通信」というメディア(掲示板)を使い、miniDVカメラが普及し始めた時代に、全国の高校生や中学生が地元のテレビ局も入らないようなスポーツの試合を全部録画して、それを配信するというビジネスモデルでめちゃめちゃ儲かるという描写がありました。まさに今のLMSを使って実現できる世界だと思います。
先ほどもTBS藤本さんがLMSの紹介で強調されていましたがテレビ局の技術部の方は、極力現地に行きたくないという(笑)。であれば、みんなにスマートフォンを持っていろんなところに行ってもらい、例えば、応援している高校生やそのマネージャー、スタッフたちが4カメぐらいで試合を撮影し、それをリアルタイムで配信する。
これが実現すれば、親や他の学校の生徒たちがその試合を見られるようになり、遠くの場所にいる人たちも手軽にスポーツイベントを視聴できるようになります。
しかも、こういった草の根のスポーツやアマチュアスポーツにおいても、この技術が使えるという点が重要です。例えば、全国大会のような大規模な大会があっても、家庭で応援する親がわざわざ会場に行かなくても、スマホ一つで全ての試合を見られる。これがLMSによって実現できるんです。
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視聴者が特派員になる
明石氏の話を聞き、川田氏は「視聴者が特派員になる仕組み」も考えられると続ける。このことによりテレビと視聴者の距離が近くなるのではないか、と。
川田氏:
誰もがLMSと繋がり、映像を流せる「視聴者が特派員になる仕組み」もここから考えられそうです。例えば、スマートフォンを持っている視聴者が、どこかで発生した出来事やイベントを撮影して、それをLMSを通じて、リアルタイムでテレビ局に送信することができる仕組みです。
この「LMS特派員」が重要なのは、現地に行かなくても、どこからでも情報を提供できることです。普通の視聴者でも、LMSを使うことで、例えば自分の街のイベント、スポーツ、日常的な出来事などを撮影し、それを番組内でリアルタイムで共有できるようになるんです。
こうして視聴者と番組制作が一体となって、新しい形のコンテンツが生まれそうですよね。渡すものは特派員としての腕章だけでいいと思うのです。