2024年限りでアプリリアを離れるマーベリック・ビニャーレスだが、彼は今年のマシンを大幅にアップデートして欲しくなかったのだと明らかにした。
アプリリアは2024年仕様のRS-GPを投入するにあたって、ドゥカティやKTMとのギャップを縮めようと、エアロダイナミクスに重点を置いた大幅なアップデートを行なってきた。
そしてシーズン序盤のアメリカズGPでビニャーレスが勝利する活躍を見せるなど、アプリリアはしっかりと進歩してきたように思えた。しかしそこからシーズンが進むにつれて、少しずつ競争力を失っていってしまった。
2024年に唯一ドゥカティ陣営以外で勝利したビニャーレスだが、彼は今シーズン限りでアプリリアを離れる。そんな彼は、アプリリアが投入した2024年型バイクに不満があったことを明らかにした。
ビニャーレスは、2024年のバイクを2023年型から大きく変える必要は無かったと考えているのだ。
「2023年にバレンシアでシーズンを終えた時に僕が要望していたのは、2つの事だけだった。レースのスタート改善と、そしてそれと同じようなバイクにすることだ。(2023年の)バイクが大好きだったんだ」
ビニャーレスはそう語る。
「でも(2024年2月の)セパンテストでは、違う状況になっていた。そこは僕が唯一後悔している事だ」
「2023年型のバイクで、少しエアロとダウンフォースを増やしていけば、ドゥカティと戦えたかどうかは分からないけど、トップ4は確実だった。一貫性があったんだ。セットアップだって、全て理解できていた」
2024年型のマシンに向けて、アプリリアは変化を起こしすぎたのか? そう問われたビニャーレスはこう答えている。
「分からない。でも気がついた時には遅すぎた。戻せなかったんだ」
「あまり好きではないバイクで、1年走る必要があったんだ」
アプリリアは前述の通り、2024年にドゥカティ以外で唯一勝利を記録。しかし一貫性に欠け、コンストラクターズランキングではKTMに敗れ3位となった。
ビニャーレスはポルトガルとアメリカズの序盤2戦で、なぜあそこまで速かったのか理解できていないと言う。
「本当に僕らが理解できていなかったのは、ポルティマオとオースティンのことなんだ」
「もちろん、それ以外のいくつかのコースでも良い走りはできたけど、あの2つほどの走りはできなかったからね」
ビニャーレスはアプリリアを離れ、2025年はKTM陣営のテック3へと移籍する。
2021年にヤマハと喧嘩別れした後、MotoGPでのチャンスを与えたのがアプリリアだったが、ビニャーレスはアプリリアというチームでの時間を振り返ると「もちろん、人間的な面でアプリリアでの時間にとても満足している」と語った。
「本当に情熱的で良い人達に出会ったよ。彼らは最初から最後まで温かい人達だった。それは凄く良いシグナルなんだ。僕達がとても良い仕事をしてきたってことだからね」
「技術的には、特に今年は足りなかった部分もあったのは確かだけど、満足すべきだろう」
「両面が上手くフィットして、最終的に僕らは好結果を達成できた。ドゥカティひとつしかメーカーが勝たないような時期でも、僕らはフロントロウに並び、好結果を挙げることができたんだ」