漫才頂上決戦『M-1グランプリ2024』は、令和ロマン(髙比良くるま、松井ケムリ)の2連覇で幕を閉じました。
大会から一夜明けた12月23日(月)。激闘を終えたばかりのふたりに話を聞くことができました。ここでは単独インタビューの模様をお届けします。
出典: FANY マガジン
令和ロマンの2024年
──インタビュー時点で、優勝から一夜明け、現在20時過ぎです。どんな心境なのでしょうか?
くるま 決勝の映像がTVerで上がっていたんで確認していましたね。映像で見ると、思ってたよりすっげえ盛り上がってる感じがしました。
ケムリ みんなそう言ってくれるよね。僕はいただいた連絡を返しつつ、結構落ち着いてきました。
──優勝が決まったとき、お二人とも前回より感情を爆発させて喜んでいたように感じました。どういうお気持ちだったのでしょうか?
くるま (大会が)盛り上がったうえでご褒美ももらえた感じでしたね。
──王者としての1年はプレッシャーがあるものですか?
くるま M-1だけで言ったら負けてもどうとでもなるというか。面白くなるとは思っていたんですけど、最高のかたちで終えられたので嬉しかったです。
ケムリ それで言うと、去年の「決勝行くだろう」みたいな方がリアルなプレッシャーを感じていました。「今年行かなきゃいけないんだろうな」って。
──その分、今年はフラットに臨めたわけですね。
くるま 「どうやったら面白い漫才ができるだろう」とか考えましたけど、本(漫才過剰考察/ 辰巳出版) を書き終えて本当にスッキリしたって感じですね。今年は軸が何個かあって、春先に『最強新コンビ決定戦THEゴールデンコンビ』(Prime Video)で優勝したあと、お笑いの理論的なものが間違ってなかったと思って、さらに書いていた本をより深く進めていって……。あと、(世界を変える30歳未満30人の日本人を表彰する)「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」をいただいたとき、周りの人と喋ったら「ちゃんとしなきゃな」という気持ちになったんですよ。
秋にその3つ(ゴールデンコンビ、本、フォーブス)がそろったときに、そこまであれこれ考えていたけど、その考えていたことがベストだと信じるしかないなと思ったんですよね。
同じ頃に、ちょうど自分たちがやっているラジオから1本、見たコンテンツから1本ネタが生まれました。(最終決戦のタイムスリップネタは)「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」(受賞者)に『SHOGUN 将軍』(ディズニープラス)に出ている俳優さん(穂志もえか)がいたんです。もともとマユリカの中谷さんから「めっちゃオモロいから『SHOGUN 将軍』を観ろ」と言われてて、ちょっとは観ていたんですけど、共演するなら早めに観ておこうと思って全部観て。
ドラマを観たら基本的にネタは作るんで、そこから1本できました。それが結果的に正しかった(そのネタで優勝した)わけですからね。その信じる力を本とゴールデンコンビで手に入れられたのかな、と思うので、そういう意味ではいい1年だったなと思います。
出典: FANY マガジン
──決勝で披露した2本がそろったのが10、11月頃だそうですが、それまでにも候補ネタはあったわけですよね?
くるま ありました。それこそ「去年も踏まえて」とか「去年と違いをだすなら」とか考えていましたね。去年は、俺だけがコントインして(松井が)外からツッコミをいれるかたちだったから、(今回の2本目のように)2人でコントに入るのが続編なんじゃないかと思って、何本か作っていました。そこに時事性なのか、何を乗っけるのか……みたいな。
あと、メディア露出の具合で、自分もケムリ先生もどういう扱いになるのか、どういうキャラになるのか分からなかったんですよ。もしかしたら、この1年で尾形貴弘(パンサー)さんみたいになっていたかもしれない。だとしたらそれを生かさないと違うし……とか、うろうろ考えていたけど、本書いて秋になって、少なくともここから大きく変わることはないだろうから、定めるしかないなと思いました。
──ケムリさんは胸中的に昨年と変わらずですか?
ケムリ そうですね。僕はくるまくんが考えてくれたネタをやってるだけなので、そこは信じていたというか、任せてました。別に僕は去年で終わって良かったんで(笑)、全部好きにやってもらった感じです。
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ビジュアルと漫才の変化
──くるまさんの衣装にも驚きました。立ち振る舞いも含め、ダーク側に振り切ったのは視聴者としてワクワクしました。
くるま 準決勝のときに、自分がどういうデザインで出るのかめっちゃ考えて、いろんなお店を回って、結局あの衣装に決めましたね。「チャンピオンが出る」というちょっと異例な状態にちょうど乗っからなきゃ、それはそれで失礼だなと思っていて。「別にチャンピオンでも出ていいだろう!」と去年と同じ衣装で出るのも面白いんですけど、それはふざけすぎてるというか。俺の中ではマナー違反だなと思うし。
ケムリ なるほどね。
くるま 「去年とは違う状態で来ましたよ」で、悪っぽいやつがいいよな。というのはなんとなく思ったんですよね。
あと、さっき言った3つがそろったときに「正しい王者お笑い」みたいなものができるようになったんですよ。根っこは変わらないけど「“お笑い”として謙遜しない」みたいな。 今年の途中ぐらいでちゃんとプロになったというか、「芸人になった」感覚があったんで、そういうことも言っていこうと思いました。
出典: FANY マガジン
──この1年でケムリさんのツッコミとしての評価もさらに高まっていったと思います。ご本人的にはどう思われていたんですか?
ケムリ 僕自身は、根本の演技力が上がっているとは思わないですけど、もしかしたら、見られ方が変わったかもしれないですね。くるまくんが目立つ中で、「横にいる人」みたいなニンがついて、見やすくなったのはあるかもしれないです。
くるま それで言うと、昨年と同じように1年間600近いステージの中で、NGK(なんばグランド花月)とかルミネtheよしもととか、でかいホールでの出番が多かったのも大きいんじゃないですか。強いて言うなら、最低ラインの声量がちょっと上がったとは思う。
ケムリ それめっちゃ思います。
くるま 昨年のM-1を見返すと、やっぱ声とか所作とか小さいなと思いますね。
ケムリ 確かにね。そういう点では、くるまくんの「芸人になれた」というところの、もっと初歩的な段階で「芸人になれた」かもしれない(笑)。
くるま NGKって本当に支配人とか社員さんも熱くて、ネタ中に写真を撮ってくれて「2人とも立ち方が内側になってるで。中川家さんとか正面向いてるで」とかアドバイスをくださるんですよ。結果的に正面を向くことが「王者の漫才」っぽく見えたのかもしれないですね。そもそも寄席の漫才として正解なんだけど、M-1の漫才としても1本目あれだけ正面を向いてたら堂々と見えるし、それを踏まえた上で肩を入れるところは入れるとか……デザインが効いたなとは思います。喋りにプラスしてフィジカルで動ける範囲は増えたなとは思いますね。