近年における「多様性」の影響を最も強く受けたトピックのひとつが「性別」だろう。公衆トイレ等の、性別を示すピクトグラムにも変化が起こりつつある。

しかし現在X上では、「どちらが男子(女子)トイレなのか分からない」として、日本国内のとあるトイレが話題になっているのだ。

 
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■このトイレ、どちらに入るのが正解?

ことの発端は、Xユーザー「勝手に八丈島観光局」さんが投稿したポスト。

その名の通り「勝手に八丈島の魅力を届ける活動をしている」という同アカウントは、「八丈島のトイレどっちがどっちか分からない問題」と、意味深な1文が綴られたポストを投稿している。

通常こうしたトイレでは、男女のシルエットを模したピクトグラムなどが設置されているものだが…公衆トイレ外観が写った写真の中には、それぞれ「鳥」と「花」のイラストが確認できたのだ。

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■「マジで分からん」と戸惑いの声が…

どちらが男子トイレで、どちらが女子トイレなのか皆目見当のつかない光景は瞬く間に話題となり、件のポストは投稿から数日足らずで3,000件近くものリポストを記録。

Xユーザーからは「マジで分からん」「これ、瞬時に分かる人いるの?」「分からないで漏らしそう」「これもポリコレの影響なのか…?」など、驚きと戸惑いの入り混じった声が続出している。

また、中には「雉撃ちと、お花摘みってこと?」といった具合に、「鳥のマーク=雉撃ち=男子トイレ」「花のマーク=お花摘み=女子トイレ」である、という仮説を唱えるユーザーも見られた。

そこで今回は、こちらのトイレを管理する東京都八丈島「八丈町役場」に詳しい話を聞いてみることに。すると、なんとも意外な事実が明らかになったのだ。

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■「観光客には難しい」正体は…

ポスト投稿主・勝手に八丈島観光局さんに確認したところ、こちらの写真は八丈町内にある「向里公衆便所」にて撮影したものと判明。

描かれた鳥と花の正体については認識しているようで、「八丈島に詳しい人ならばイラストの意味が分かるけど、観光客には難しいだろうなと思いました」とのコメントが得られている。

八丈町役場に話を聞くと、これらのイラストは2000年の施行時に設置されたものと明らかに。

その詳細について、役場担当者は「八丈町の町花と鳥を表しています。鳥は町の鳥であるアカコッコ、花は町の花であるストレリチアを表しています」と、説明していた。

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■イラストの正体でひと安心

なお、今回話題となった「性別の区別が分かりづらい」という意見について、役場の担当者は「こちらのイラストは、男女を指している物ではありません」と、やんわり否定。

その上で、「男女・ユニバーサルトイレを表すピクトグラムが、入り口についています」と、説明してくれたのだ。

「多様性」への配慮がなされた現代では、トイレの外観で一風変わった2種類のイラスト(マーク)を目にしても、「こういう男女のピクトグラムもあるんだな」と、変に納得してしまうことだろう。

だが今回のように、もう一歩踏み込んだ先に「真のピクトグラム」が存在するケースもあるため、くれぐれも気をつけたい。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ