もはや年末の風物詩となった『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系/以下M-1)が今年も12月22日に開催され、チャンピオンに昨年と同様・令和ロマンが輝きました。前人未到の2連覇の偉業を達成する一...
息子のように見守りたくなる
1本目のネタでは第1位に(C)日刊ゲンダイ
エースさんは、大阪の西成区出身。所属している草野球チームではその名の通り“エース”であり、本名は角 拳都(かど けんと)というのもまるで少年漫画の主人公のよう。漫画・ワンピースが好きということですが、そのキャラが名前の由来ということを否定しています。
決勝進出者発表でも少年のような無邪気さは変わらず。重々しい雰囲気の中でコンビ名が次々発表され、みな他に配慮して静かに嬉しさを噛みしめる中、エースさんだけは「おおお、やったあ!」と声をあげ、その喜びを爆発させていました。
また、決勝進出会見でも優勝賞金の使い道として「親にあげますよ。親にあげたらよろこぶんで!」とまっすぐに即答。親世代の心を打ちぬいたのは言うまでもありません。
その明るさや純粋さは、多くの先輩たちも気にかけているようで、マヂカルラブリーの村上さんは、件の決勝進出会見で「かわいい♡」と目を細め、決勝後に行われた打ち上げ配信でも「悲しい思いはしてほしくない。嫌な仕事は断って」などと親のような心配をしていました。
その横にいた渋谷凪咲さんも「(バッテリィズのネタ中)審査員の方が子供を見るような目になっていた」と評するなど、M-1の4分間で見ていた全ての人の息子にエースさんがなっていたような気がします。
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アホは癒しを与え、殺伐とした世の中を救う
ハイレベルと言われた2024年(C)日刊ゲンダイ
最近のM-1は、複雑な構成や伏線回収、ち密な言葉遊びを駆使した漫才が評価されがちで、令和ロマンのような大会を分析しつくしたコンビが優勝し、いわば漫才がスポーツのように競技化している現状があります。
バッテリィズの漫才は技巧的な漫才というよりは、エースさんのキャラとアホさで笑わせる、老若男女誰にでもわかりやすい面白さがあります。
審査員のオードリー若林さんも「小難しい漫才が増えてくる時代の中で、ワクワクするバカが現れたなと。日本を明るくしてくれそう」と評価。アンタッチャブルの柴田さんも「こんなクリティカルなアホは初めて見た」と絶賛していました。どこかヘキサゴンの羞恥心メンバーを思わせる部分もあるので、もし審査員の中に島田紳助さんがいたのなら、優勝を勝ち取っていたかも…と余計な想像をしてしまいます。
2021年に優勝した錦鯉もそうですが、明るいバカは周りの人を笑顔にする効果があり、漫才のネタ以上に演者の人柄も愛される二重の効果を生みます。人柄が愛されるということは、これから東京のバラエティの平場で活躍していくにあたって大きな強みになっていくでしょう。