女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第11話は「めまいよ、止まれ」。
【日日更年期好日】
救急車も考えた、めまい初体験
(写真:iStock)
更年期の症状の代表例のように挙がってくるのが、めまい。これを読んでいる人にも経験している人が多いと思う。
そもそも、めまいはなぜ起こるのかと調べてみたものの、原因があまりにも広範囲すぎた。まるで『相対性理論』をイチから調べろと言われているようなもので、凡人に理解できる範疇ではなかった。ということは、めまいはさまざまな病気の可能性がある。
それでも何かわかるものはないかと、インターネットや家庭の医学辞書を読み漁っていくと、低気圧、ストレス、脳梗塞、メニエール病、動脈硬化と読めば読むほど身震いのするワードが並ぶ。
しかも何カ所かは自分と当てはまる節がある。ちなみに更年期によって発生するめまいの症状は『血管運動神経症状』と総称されて、原因は自律神経のゆらぎによるもの。めまいだけではなく、吐き気、ホットフラッシュも伴うらしい。こりゃ、自分に当たってる~~。
私も人生で2回だけ、大きなめまいに襲われたことがある。
1回目は42歳。自宅で風呂も入って晩酌も終えて、さあ寝ようと立ち上がった瞬間に目の前が回り出した。本当に突然のことだった。
「あ…あれ? 私、どうした?」
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自宅でひとりコーヒーカップ状態に
(写真:iStock)
当時、自宅には私ひとり(今もひとり)。助けを求めることもできず、倒れ込んだ。天井を見ながら、自分がコーヒーカップに乗っているかのように、ぐるぐると目が回っていたことを思い出す。
次第にその光景に酔ったのか気分が悪くなり、目をつぶった。おそらく20分近く、床に倒れていた。救急車を呼ぶことも考えたが、最終的に立ち上がり、歯を磨いて寝た。割と大変なことが起きたのに、歯磨きを忘れないのは我ながら人間らしいとしみじみ。
翌朝、近所のかかりつけ医(内科、外科など)に相談へ行く。体のどこかに違和感があれば、不祥へ転じないうちに即、医者で相談をするようにしている。
医者、薬嫌いなんぞナンセンス。頼れるものは藁でもすがる。
結局、かかりつけ医は専門医に診てもらったほうがいいと、大きな病院へ紹介状を書いてくれた。自宅でクラッと倒れただけのはずが、なんだか大ごとになってきたな、おい…。
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枕をしていないことが原因に?
枕ナシが原因?(写真:iStock)
大きな病院ではレントゲンや、脳波をはじめ、ありとあらゆる検査をした。最終的に耳鼻科の医師は「特に心配はない。更年期でもない」と言う。
いいや、そんなことはない、なにか原因があるはずだと食い下がることのない、患者(私)。ここで何もなかったと終わらせてしまうのは、不安が募る。
「ひょっとして、枕をしないで寝ていませんか?」
医師からの問いかけ、これは身に覚えがあった。立った状態と同じ姿勢をキープできるというマットレスを購入して以来、店員の案内通りに枕をしないで数年間。
「枕をしなかったことが、めまいの原因だったのか?」
やや疑問を覚えながらすぐに枕を購入した。
そして2回目のめまいは45歳の誕生日。仕事で久しぶりに会った男性と向かい合って打ち合わせをしている最中だった。初体験時と同じく突然、目の前が回り出した。今度は倒れるほどではなく、メリーゴーランド乗車中というところの回転具合。
向かい合って座っている打ち合わせ相手に助けを求めようかとも思ったけれど、説明した瞬間に事態が大ごとになるという危惧を乗り越えられず、ぐるぐる回ったまま打ち合わせは終了。
めまいも初回に比べると、ほんの3分程度。打ち合わせ後、オフィスを出た後に徒労感に襲われたことは覚えている。