2024年のJリーグでも数多くの外国人選手が活躍した。日本のサッカー界を盛り上げてくれた全ての外国人選手に感謝しつつ、特にインパクトのあった選手のベストイレブンを筆者の目線で選ばせていただいた。
なお、夏加入の選手でもトルガイ・アルスラン(広島)やラファエル・エリアス(京都)など、衝撃的な活躍を見せた選手も目についたが、通年の総合評価ということで、今回は選外となった。
GKはマテウス(東京V)を指名した。“昇格組”だったヴェルディを背後からしっかりと支えて、リーグ戦フル出場。幅広くゴールを守りながら、決定的なピンチを幾度となく救った。
ランゲラック(名古屋)もさすがの安定感を見せたが、彼に関してはリスペクトも込めて“殿堂入り”ということで、今回はインパクトの大きかったマテウスを優先したい。またスベンド・ブローダーセン(岡山)もレギュラーシーズン、昇格プレーオフともに素晴らしいパフォーマンスで、十分に選出に値したことを付記しておく。
ディフェンスラインは3バックで、ドレシェヴィッチ(町田)、マテウス・トゥーレル(神戸)、マリウス・ホイブラーテン(浦和)で構成した。
ドレシェヴィッチはセンターバックのポジションで奮闘を見せながら、攻撃の起点としても町田のJ1での躍進を力強く支えた。コソボ代表で主に中盤の6番的なポジションを担うだけに、センターバックの陣容次第では町田でも、そうしたプレーが見られるかもしれない。
マテウス・トゥーレルは文句なしに、Jリーグを代表する外国人DFだ。神戸のリーグ連覇や天皇杯優勝はもちろん、ACLエリートでも相手の強力FWを封じるなど、獅子奮迅の働きが目立った。
マリウス・ホイブラーテンはシーズン中の盟友アレクサンダー・ショルツの退団や監督交代など、一時は降格危機に陥ったチームの混迷に割りを喰った部分も大きいが、個のパフォーマンスはハイレベルで、粘り強いカバーリングやブロックで、浦和の防波堤であり続けた。チームの立て直しが図られる来シーズンはJリーグに加えて、クラブワールドカップでの奮起も期待される。
ダブルボランチはユーリ・ララ(横浜FC)とアルトゥール・シルバ(大宮)のコンビ。ユーリ・ララは圧倒的なボール奪取力と効果的な配球、機を見た飛び出しなどで、J1昇格に多大な貢献を果たした。
来日6年目のアルトゥール・シルバは序盤戦こそ怪我の影響で出遅れたが、6月のJ3MVPを受賞するなど、中盤から攻守に躍動感をもたらして大宮のJ3独走を加速させた。すでに契約更新も発表されており、かつてFC東京などでJ1も経験している万能型MFが、J2でどういったパフォーマンスを見せるか楽しみだ。
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アウトサイドはルーカス・フェルナンデス(C大阪)とマテウス・サヴィオ(柏)の両翼に。二人とも攻撃的なタレントだが、今回は3バックにしたこともあり、日本代表のようにウイングバックのポジションから躍動してもらう。
ルーカス・フェルナンデスは札幌時代から、高い推進力と高精度のクロスに定評があったが、セレッソのスタイルがハマり、10アシストを叩き出した。その一方で、アウェー川崎戦の同点ゴールなど、勝点に直結するゴールも見逃せない。
マテウス・サヴィオは独力で打開する能力が圧巻で、チームは終盤戦まで残留争いを強いられたにもかかわらず、J1のベストイレブンに選ばれたことが、その存在価値を証明している。
アタッカーは悩ましいほど多くの候補がいるなかで、J1得点王のアンデルソン・ロペス(横浜)を筆頭に、マテウス・ジェズス(長崎)、レオ・セアラ(C大阪)の三人を選ばせていただいた。
長崎で得点力が開花したマテウス・ジェズスは、ワントップで起用されることも多かったが、元々は中盤を本職とする選手であり、アンデルソン・ロペスもレオ・セアラもセンターフォワードなのでツートップに並べて、マテウス・ジェズスをトップ下にした。
MVPは素直に個人の数字を評価するならアンデルソン・ロペスという意見は多いかもしれないが、筆者としては、やはり所属チームのリーグ優勝と天皇杯の二冠獲得を力強く支えたマテウス・トゥーレルに与えたい。
それにしてもベストイレブンに「マテウス」が4人。今回は惜しくも選外になったが、5得点・8アシストと活躍したヤン・マテウス(横浜)、J3でインパクトを放ったマテウス・レイリア(富山)も含めると、多くの「マテウス」に盛り上げられた今年のJリーグだった。
取材・文●河治良幸
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