最後に。このカメラの「立ち位置」について考える。
最初はデザイン面など若干疑問を持ちつつ投入した現場でしたが、少人数チームで臨んだ今回のロケにおいては、ここまでに書いたとおりコンパクト且つ軽量なボディ、バッテリーのもち、画質などの観点から、終わってみたらこのカメラ以外考えられないと言えるくらい扱いやすいカメラでした。
しかし、気になってしまうのがこのカメラの「立ち位置」について。
というのも、すぐ下の価格帯には動画機能を強化したEOS R5 Mark IIがあり、すぐ上には本格シネマ機であるEOS C400があるという中で、このカメラをチョイスする理由が薄れてしまっているのでは?と感じるからです。
独特なデザインも相まって、微妙な立ち位置に感じてしまいます。しかし実際に使ってみると、C80の強みはミラーレス機に対しては強力なバッテリーや、長時間収録に耐えられる冷却システムと全体的な安定性が大きなメリットとして感じられると思います。また本格シネマ機に対しては同じ機能を持ちながらさらに小型軽量の筐体で、ボックス型のモジュールではなく一体型のオールインワンボディとすることで収納性がよくなるだけでなく、セッティング時間の短縮といった現場での運用性が増しているので、ミラーレスをリグ組みするくらいなら、最初からC80を買う、という選択肢は大いにありだと思います。
使ってみると良さがわかるという「玄人向け」なカメラなので、この方向性をさらに熟成させて、息の長いシリーズにして欲しいと切に願っています。