M-1ファイナリスト・ダイタクが語る“伝家の宝刀”の悩み…過去最大規模ライブ開催で「自己紹介しなくていい漫才師になりたい」

周囲が喜んでくれるのが本当に嬉しかった

──ラストイヤーを迎えて、改めておふたりにとってM-1はどんな存在でしたか。

大 TVerで『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日)の囲碁将棋さんがM-1についてコメントを寄せている回を見たんですけど、僕らも囲碁将棋さんに近い感覚で。5、6年目から、いろんな方に「絶対このまま続ければ決勝行けるよ」とずっと言われてたんですよ。でもなかなか行けず、後輩が次々行って、だんだん焦りも強くなってきて、この2、3年は準決勝でウケたのに行けない経験もして、「もう縁がないのかな」と諦めかけていたんです。M-1にそこまで思いを寄せていると、ほかのことができなくなってしまうから、考えてないフリをしていたというのが正直な気持ちです。


出典: FANY マガジン

拓 今回、決勝が決まってめっちゃ嬉しかったんですけど、自分の喜びより、行けると期待したり、応援したりしてくれてる人が喜んでるのが本当に嬉しかったですね。だから恩返しの場所だなと思います。M-1が始まる前から芸人になりたいと思っていましたけど、M-1ができてしまった以上、目指さざるを得ない。でも、M-1の決勝に行っていなくても劇場でめちゃくちゃ笑いをとってる人はいっぱいいるんですよ。だからM-1だけがすべてじゃない。でも、その人たちも「M-1出たかった」と言っているので、(決勝に)出られてよかったなと思います。

──決勝が決まってからの反響はどうでしたか?

大 みんな心配してくれてたんだなと思いますね。「ダイタクなら決勝に行かなくてもなんとか食っていけるか、でも行けるに越したことはないんだけどな」という空気を、劇場の方も先輩後輩も持っていたみたいで。だから、みんな「おめでとう」以上に「よかったね」と言ってくれました。

拓 若手の劇場とかだと、露骨にウケるようになりました(笑)。無限大ホールのお客さん、僕らのライブに来てくれるお客さんは、きっと僕らと同じくらい不安だったんですよ。特に僕らのファンでなくても、劇場に来てくれている人はみんな「ダイタク、ラストイヤーだけど行けるのかな」と思ってくれてたんだと思います。祇園花月の一見さんの前ではスベったりもしますけど、「いやいや、ファイナリストだから」と思ってます(笑)。

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「伝家の宝刀」が必要のない漫才師になりたい

──「伝家の宝刀」はこれからも使い続けますか?

拓 裏側の話になっちゃいますけど、僕らって漫才の冒頭で自己紹介をしなきゃいけないんですよ。あんまりないじゃないですか、自分たちの名前と関係性を言ってからネタを始めるって。だから、紹介のあとにひとボケ入れて、拍手もらって漫才がスタートできれば、という気持ちで。

大 ふつうのコンビは、いきなりボケから始まることもできるんですよ。でも僕らは1回、自己紹介してからやらないと自分たちも気持ち悪いし、お客さんが見ていて「え、双子なんだよね?」となるのがイヤなんでやるんです。この時点で5秒使ってるし。


出典: FANY マガジン

拓 僕らも恥ずかしいんですよ。だから紹介しなくても、こっちが大でこっちが拓と認知してもらえたら最高ですね。やれることの幅も広がるし、自己紹介をしないことでできる漫才もありそうだし。

大 うん。自己紹介しなくていいぐらいの漫才師になりたいですね。

――最後に、M-1を終えて今後の展望をどう考えていますか?

大 今後は『THE SECOND』もあるし、毎年やっている単独ライブ、即興漫才のライブを、全国をまわりながらやりたいな。

拓 そうですね、単独ライブや即興漫才を今回で知ってもらった人に来てもらえるようになりたいですね。あと知名度をもっと上げられるように、テレビにもどんどん出ていきたい!