田中将大 (C)週刊実話Web

12月25日、元楽天・田中将大の巨人入団が正式に決まった。どこも獲得球団が現れない中、本人にとっては嬉しいクリスマスプレゼントとなったが、その実態は依然として厳しそうだ。

田中は11月に自らの意志で楽天を退団したが、昨季1試合のみ登板の36歳に向けられる視線は冷たかった。

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このまま引退も危ぶまれたほどだが、スポーツ報知が12月半ばに田中の巨人入りを報道。イブの24日に球団からも正式発表があり、25日に入団会見が開かれた。 

背番号は斎藤雅樹・上原浩治らも背負った11に決まり、田中は「子どもの頃からファンだったジャイアンツのユニホームを着られることを光栄に思ってます」などと笑顔を見せた。 

会見には阿部慎之助監督も同席し、「まだまだできると僕も信じて、獲得に乗り出しました」と語ったのだが、これはリップサービスにすぎないというのだ。 

「高校時代から酷使されてきた手術明けの36歳が、『まだまだできる』なんて本気で思っているワケがない。現に、今季はわずか1試合5イニングしか投げておらず、戦力としては到底計算できません」(元スポーツ紙記者) 

田中の不要説を如実に裏付けるのが、今季の巨人投手陣だ。 

「伝統的に強力打線の巨人ですが、今季は日本一の投手王国。チーム防御率2.49、失点数381は共に12球団1位であり、セーブ数も2位と隙がありません。最多勝と最優秀勝率を獲得した復活のエース・菅野智之がメジャー移籍したが、先発ローテーションは戸郷翔征、山崎伊織、フォスター・グリフィン、井上温大となおも厚い。ローテ候補にも赤星優志、横川凱、堀田賢慎と層が厚く、大勢や新加入のライデル・マルティネスもいる。田中の入る余地はないでしょう」(同) 

こうして見ても、今の巨人に田中の居場所などないのは明らかだ。では、なぜ獲得に動いたのだろうか。 

巨人軍の歴史と若手投手が示す“コーチ就任”の未来

「真の狙いは将来のコーチ就任ですよ。日本で24勝0敗と無双し、メジャーでも活躍したのは事実。これほどの経験者は30年に1人レベルで、球団として若い選手に受け継いでほしいのは言うまでもない」(他球団のベテラン関係者) 

巨人の投手陣は強力だが、現在の年齢はエース・戸郷の24歳を筆頭に、赤星が25歳、堀田・井上が23歳と若手が多い。実績・経験豊富な田中は、指導役として適任なわけだ。 

「すでに契約更改では、田中に関し、又木鉄平が『積極的に個人的なことを聞けたらと思います』と述べ、西舘勇陽も『見て学ぶ部分もある』『話を聞いてみたいし、どんどん吸収していきたい』など指導を期待している。阿部監督は『まだやれる』としましたが、本当の狙いは彼らのような若手の育成にあります」(同) 

そもそも、巨人軍の歴史では、他球団の看板選手が晩年だけ移籍し、そのままコーチに就任するパターンが常套手段と化している。 

「2015年、巨人はそれまで横浜一筋だった金城龍彦を、戦力としては期待できないベテランにもかかわらず獲得。結局1年で引退し、翌年から三軍打撃コーチに就任、今に至るまで巨人コーチを務めています。同様の例は井端弘和、相川亮二、西山秀二、大西崇之らにも当てはまり、田中もこのケースと見るのが自然です」(ベテラン野球記者) 

入団会見では、まだ必要とされる喜びを感じていた様子の田中。巨人で3勝し、日米通算200勝を達成したあとは、コーチ的な役割を担うのだろうか。