「濵田酒造『隠し蔵』登場から30年」工場見学では決して見ることができない傳藏院蔵の“樽貯蔵庫”を大公開!ブレンダーの驚きの日常も……?の画像一覧
いきなりですが、鹿児島県と聞いてイメージするものと言えば、皆さんは何を思い浮かべますか。色々ありますが、そのうちの一つに“焼酎”を挙げる人もきっと少なくないかと思います。なんと県内だけで100以上の蔵元があるほど、この地には焼酎が強く根付いているのだとか。中でも特に、焼酎造りが盛んなのが、いちき串木野市という地域です。『いちき串木野本格焼酎による乾杯を推進する条例』(※強制力はもちろんありません!)なんていう一風変わった面白い文化まであるのだとか……!
さて今回は、そんないちき串木野市に位置する、明治元年創業の濵田酒造(はまだしゅぞう)に足を運んでみました。ここから登場している本格麦焼酎『隠し蔵』が今年で発売30周年を迎えたということで、美味しさへのこだわりや、造り方の秘密をたっぷりと深掘りしていきたいと思います。
「隠し蔵」ってどんなお酒?工場見学では決して見ることができない“隠された蔵”
改めて、濵田酒造が手掛ける『隠し蔵』について、その概要をざっくりとご紹介していきましょう。1994年に誕生したこちらは、鹿児島シラス台地の清らかな湧水と、こだわり抜かれた大麦から生まれた雑味のないすっきりとした原酒を使用。それをじっくりと樽熟成させることで、印象的な琥珀色に仕上げました。
モンドセレクション20年連続金賞を受賞し、ブランド累計出荷本数1億本を超えているヒット作。樽貯蔵由来のバニラのような甘い香り、香ばしい深い味わい、そしてマイルドでなめらかな飲み口の奥に感じるほのかな甘みがクセになります。
そんな『隠し蔵』の名前は、工場見学では決して見ることができない“隠された蔵”で貯蔵・熟成されていることに由来しているそう。慈しむように大切に貯蔵されているといっても過言ではありませんよね。濵田酒造としてはできればそのままずっと隠しておきたい気持ちもあるようですが、今回は特別にそのベールを脱いだということで、造り方などを詳しく覗いていきましょう。
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「傳藏院蔵」を訪問
「伝兵衛蔵(でんべえぐら)」・「薩摩金山蔵(さつまきんざんぐら)」・「傳藏院蔵(でんぞういんぐら)」これら3つの蔵から成る濵田酒造ですが、今回は「傳藏院蔵」をピックアップ。貯蔵庫として機能している無数の樽に囲まれた一角はもちろん、『隠し蔵』はこの蔵で製造されています。
原料米の受入れ・払出しを皮切りに、麹造りや一次仕込み、二次仕込み、蒸留など、貯蔵・熟成までには様々な工程が。そのほか、ラベル貼り、箱詰め、保管というように出荷まですべてここで行われている。下の写真は個人的に印象に残っている部分です。
『隠し蔵』に使用される麦麴
製麹装置に運ばれた素材たち。種麹を散布した蒸米や麦が入っている。製麹装置の中は温度35~40℃ほど、湿度は90%以上とのこと。約2日間かけて麹菌を繁殖させる。製麹装置1台からなんと約10トンの麹を作ることができるのだとか……!
水と酵母を入れたタンクに麹を加えて、約6日間発酵。日数に応じて、色や質感に変化が顕著に表れていた。
二次仕込みまで終わったら蒸留装置へ。沸騰させて、原酒を得るそう。
そして、ひっそりと静かな空気に包まれた樽貯蔵庫。普段は一般公開されていないこの場所で、貯蔵・熟成することで、刺激的香味が減少し、まるい味わいが生まれるんです!ブレンダーが日々熟成具合を管理しています(トータルで1~3年ほど寝かせるらしい)。
樽には新樽と古樽、2種類の素材を使い分けているとのこと。これらの樽材を熱して、焼酎の香味や色味を調整しているのだとか。ちなみに酒税法の関係で、ウイスキーの色の約1/10以下に仕上げる必要があるそうです。
■チャーリング=強火で内側を焦がす処理
■トースティング=弱火でうっすらと焦がす処理
栓の締め具合といった要素も、熟成に影響します。ブレンダーの方々は、いろんな要素をチェックしつつ“樽の呼吸”に耳を傾けているということが伝わってきました。