今季、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)は、アルファタウリからチーム名を変更しただけでなく、新体制を敷いて心機一転、中団争いでのトップの座を狙ったが、角田裕毅、ダニエル・リカルド、そしてリアム・ローソンというドライバーラインナップによるポイント獲得は46に止まり、最終的にコンストラクターズランキングでは8位に終わっている。
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序盤は「VCARB01」の非力さが目立つも、3戦目のオーストラリア・グランプリで角田が初入賞を7位という好結果で飾ると、ここからポイントを積み重ねて自身の評価を上げるとともに、チームを長くランキング6位に留めることに成功する。しかし、ハース、アルピーヌといったライバルが徐々に力を上げ、コンスタントに入賞を重ね、また時折ビッグポイントを達成したのに対し、中盤以降のRBは伸び悩み、あえなく後退を余儀なくされた。
シーズン前には、このイタリア籍チームが表彰台を争う姿も見られるのではないかと予想したメディアもあったが、その期待を裏切ることになった経緯をオランダのF1専門サイト『RN365』が回想し、その中でRBの“敗因”をシーズンの厳しいスタート、中盤に入ってからの停滞を挙げている。
また角田については、「リカルドとは対照的に、シーズンを通して速さを見せ、安定したポイントゲッターとして活躍。リカルドとローソンがふたり合わせて16ポイントを獲得するに止まる中、角田は単独で30ポイントを稼ぎ出した」と称賛するとともに、「彼が素晴らしいパフォーマンスを見せながらも、チームとしてライバルが複数回記録したような大量ポイントの獲得ができなかったことが、6位の座を守ろうとする彼らの足を引っ張った」とも綴った。
同メディアはまた、角田がF1での5シーズン目を迎えることとなった、来る2025年シーズンの展望も行なっており、レッドブル昇格を果たしたローソンに代わってシートを得たアイザック・ハジャーとの共闘は、「チーム内に少なからず緊張感を生じさせるのは避けられないだろう」と指摘している。 今季のF2で4勝を挙げてランキング2位の好成績を挙げた弱冠20歳のフランス人ドライバーとチーム内争いを展開することになる角田について、「リカルドやローソンよりも明らかに速さを見せたにもかかわらず、再びレッドブル昇格の機会を逃したことに、彼は納得できないだろう。(中略)来季、角田にできることはただひとつ、ハジャーに圧倒的な差をつけるとともに、ローソンにも挑戦の意思を示すことで、レッドブルがこの日本人に注目せざるを得ない状況を作ることだ」と、同メディアは彼の課題を挙げた。
もっとも、すでに角田が昇格の可能性に対して疑心暗鬼に陥っている可能性も示唆し、またレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が角田のグループからの離脱の可能性も匂わせる発言を行なったことも紹介。「角田にとっては5年目と、すでにかなりの経験を積んでおり、それが次世代の若手ドライバーのシート獲得を実質的に妨げる状況になっている」として、彼がその去就において、不安定な状況でシーズンを送ることになるとの見解を示す。
そして、「RB(来季はレーシングブルズが正式名称)が6、7位に浮上するためには、(今季実現できなかった)安定した入賞と時折のビッグポイントが必要である。そしてさらに重要なのは、角田の将来をどうするか。両者の利益のために最終的な結論を出すことだ」と、記事を締めている。
コース上ではチームメイトとなるハジャーが、角田の長年の弱点にも挙げられているコクピット内での感情のコントロールを課題としていることからも、RBにとっては新たな悩みが増える危険性があるとも同メディアは指摘しているが、魅力も感じさせるラインナップで、いかなるパフォーマンスが発揮され、対決模様が生まれるのか。2か月半後には幕を開けることになる新たな戦いへの興味は膨らむ一方だ。
構成●THE DIGEST編集部
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