ノーベル文学賞を受賞したガブリエル・ガルシア=マルケスの世界的ベストセラー小説「百年の孤独」がNetflixシリーズとして映像化され、12月11日より配信されている。
1967年に出版された「百年の孤独」は、1982年にノーベル文学賞を受賞したガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作のひとつ。スペイン語の文学として世界的にも名作として絶大な人気を誇る同作は、これまでに5千万部以上を売り上げ、40を超える言語に翻訳されている。
世界の文学史を変えたと言われる「百年の孤独」だが、ガルシア=マルケスの一番有名な作品にも関わらず、なぜか一度も文庫化されずにいた。いつからか「『百年の孤独』が文庫化されると世界が滅びる」と言われるようになった。それが2024年6月26日に文庫化、その半年後には映像化されるに至った。
Netflixシリーズ配信を機に歴史的傑作をここに紹介したい。
前衛的文学作品の映像化
「百年の孤独」は、架空の地マコンド村を舞台に、ブエンディア一族の繁栄と衰退の100年を描いた壮大な物語。血に呪われた一族の歴史が、孤独と愛という重厚なテーマが描き出している。
親に逆らって、いとこ同士で結婚したホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランは、故郷の村を離れ、新天地を求めて長い旅に出る。友人たちや冒険者たちに伴われ、彼らはついに先史時代の底石の上を流れる川のほとりに理想郷を見出し、村を築いてマコンドと名付ける。ブエンディア一族は何世代にもわたり、この神秘的な村の未来を刻んでいくが、そこには狂気や禁断の愛、血塗られた不条理な戦争、そして希望も空しく彼らをとがめる恐ろしい呪いの恐怖が付きまとう。
近年、「百年の孤独」をはじめとしたラテンアメリカ文学へ注目が集まっている。ラテンアメリカ文学は、ヨーロッパの文脈とは違う文化背景で描かれており、伝承、神話が生活に溶け込んでいる土着の文化を織り交ぜた、日常と非日常を融合した前衛的な文学・マジックリアリズムが根底として流れている。その世界観は映像にも反映されている。
「百年の孤独」は、その美しい書き出しが有名だ。Netflixシリーズでは、それが映像で再現されている。
難解な原作の映像化において、ガルシア=マルケスの息子ロドリゴ・ガルシアとゴンサロ・ガルシア・バルチャが製作総指揮を務めている。
©︎ Kent Nishimura/Los Angeles Times via Contour RA
2019年の製作発表時、ロドリゴ・ガルシアは、こう語っている。
「何十年もの間、父は「百年の孤独」の映像化をためらっていました。というのも、時間的な制約のある長編映画化は不可能であり、またスペイン語以外の言語での製作では作品を十分に表現できないと信じていたからです」
「しかし、現在はシリーズ作品の最盛期です。脚本や監督のレベルも高く、コンテンツも映画のような高品質になり、世界中の視聴者が外国語の作品を受け入れていることを考えると、世界的な規模の視聴者がいるNetflixで本作を映像化するまたとない時期が来ていると思います」
撮影は、主にガルシア家の故郷であるコロンビアで行われ、物語の舞台である・マコンドは、54.39平方キロメートルに及ぶ巨大なセット、300トンの鉄製彫刻、1万6000本の植物など、前代未聞の規模で再現された。
本作はコロンビア文化省も参加したNetflixがラテンアメリカで展開する史上最大規模のプロジェクトである。原作同様、西洋文化で語られないNetflixシリーズ「百年の孤独」をぜひ刮目して観てほしい。
文 / otocoto編集部
作品情報
Netflixシリーズ「百年の孤独」
親の望みに逆らって結婚した、いとこ同士のホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランは、故郷の村を離れ新天地を求めて長い旅に乗り出す。友人たちや冒険者たちに伴われ、彼らはついに先史時代の底石の上を流れる川のほとりに理想郷を見出し、村を築いてマコンドと名付ける。ブエンディア一族は何世代にもわたりこの神秘的な村の未来を刻んでいくが、そこには狂気や禁断の愛、血塗られた不条理な戦争、そして希望も空しく彼らをとがめる恐ろしい呪いの恐怖が付きまとう。これは、百年の孤独のうちに紡がれる物語。
監督:アレックス・ガルシア・ロペス、ラウラ・モラ・オルテガ
原作:ガブリエル・ガルシア=マルケス
出演:クラウディオ・カターニョ、マルコ・アントニオ・ゴンサレス・オスピナ、スサナ・モラレス・カニャス
世界独占配信中
作品ページ netflix.com/title/81087583