クリスマス百条委員会〉「私のところに告発が来たらクシャっとしとったのに」号泣辞職した元副知事が“覚醒”して声荒らげる独演会、斎藤知事は再度パワハラ認めず

「第三者委員会の立ち上げに向けて、いま準備をしているところです」

一方の斎藤氏は、Aさんの文書は「誹謗中傷性が高い文書」「核心的な部分が事実と異なる」として公益通報に該当しないとの従来の主張を繰り返し、Aさんは公益通報者保護法が定める保護対象にならないので懲戒処分は適正だった、と強調した。

だが、Aさんが文書で指摘したパワハラ事例で、斎藤氏から怒鳴られたという当の県幹部は、「社会通念上必要な範囲とは思いません。理不尽な叱責を受けた」と以前の百条委で証言している。

これらを挙げ、百条委の議員が「それでも核心的な部分は事実ではないと言うのはなぜか」と尋ねた。

これに斎藤氏は「強く指導させていただいたり、注意したっていうことありますけども、暴行罪や傷害に当たるような社会通念上、度を越えて極端なことをしたということではないです。ハラスメントについては客観的な認定がされるものだという風に思っています」と答えた。

尋問の終盤、ここでも増山県議が斎藤氏をアシストする。Aさんの処分をめぐっては4月の窓口通報の調査が終わっていないのに3月の文書を理由に処分したことの是非が大きな焦点になっている。

増山氏は、4月の通報内容は知事らには知らされず、3月の告発と全く違う可能性もあると主張。窓口通報の調査結果を待たなければ告発に絡む処分ができないとなれば、「誹謗中傷文書を流布した者が内部公益通報を行なった旨発表すれば、永遠に処分されない事態を招きかねない」と、質問時間に持論を述べた。

これに対し斎藤氏は、「そうですね。同じ認識です。(窓口での)公益通報っていうものは基本的に行政内部含めて非公表、非共有という形になってますんで、その調査を待って処分を待つべきだということをやってますと、ある意味ずっと処分ができないということになる」と同調。迅速な処分は必要だったと強調した。

ところがAさんのパソコンから県当局が抜き出した私的情報は、前述のように片山氏の部下が見せて回り、さらにこの情報と疑われる内容を、出直し知事選に「斎藤氏を応援する」と言って出馬したNHK党の立花孝志党首が演説やSNSで公言している。

この事態に対し斎藤氏は、「文書の同一性含めて弁護士などに客観的に調査を、確認してもらう必要がありますので、早急に第三者委員会の立ち上げに向けていま準備をしているところです」と繰り返した。

問題発覚からすでに5か月が経過。いまだに「準備」をしているというのは、Aさんに対する迅速な対応とは対照的だ。

「職員が漏洩した可能性も、外部からの不正なアクセスもある。間違いなく個人情報の漏洩あるいは虚偽の情報拡散によって県の名誉を著しく傷つけている。第三者委員会のレベルではなく速やかな刑事告発をすることが、私は県民の個人情報を預かる県の責務だと思う」

百条委委員からは危機感に満ちたそんな言葉も出た。それでも斎藤氏は表情も答弁も変わらなかった。県政の“混乱”はまだまだ続きそうだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班