2021年9月17日に全世界で配信された「イカゲーム」シーズン1。約4週間で世界1億4200万世帯が視聴され、日本をはじめ世界94カ国で「今日の総合TOP1」を記録。現在でもなお、Netflix史上最大のヒットシリーズとして君臨し続けている。
そしてビリー・アイリッシュ、レオナルド・ディカプリオ、ジェフ・ベゾス、レブロン・ジェームズ、ジャスティン・ビーバー、といった世界的有名人がハマったことを公言し、日本でも、北野武、賀来賢人、本田翼といった多くの著名人たちが夢中になっていたモンスターシリーズでもある。
「イカゲーム」は多額の借金や深刻なトラブルで人生の崖っぷちに立っている者たちが、超高額の賞金をかけて、子どもの遊びを模したデスゲームに挑むサバイバルスリラーだ。
設定は福本伸行による大人気マンガ「賭博黙示録カイジ」、デスゲームスタッフたちのユニフォームは、マスクと赤いつなぎがNetflixシリーズの「ペーパー・ハウス」と、既視感があることは否めなかったが、結果、前述のとおりの世界的な大ヒットとなった。
韓国の格差社会を反映した緻密に練り上げられた全9話、リアリティーあふれる画面描写、生きるか死ぬかの緊張感のなか、次第に変化しいく人間ドラマを描くことに注力したことが、「イカゲーム」が大ヒットした要因だと言われている。
そして12月26日、待望の「イカゲーム2」がNetflixから独占配信された。ここでは、前作を振り返るとともにその魅力について迫りたい。
【シーズン1】 心を壊すデスゲームの始まり
まずは、前作シーズン1をおさらい。
ギャンブルに明け暮れ、借金を抱え、離婚して元嫁に引き取られた愛娘にも会えなくなった40代後半の男、ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)。最悪の気分の中、ビシッとしたスーツを身に纏った謎の男(コン・ユ)に、1回勝つごとに1万ウォンがもらえる、メンコ勝負を持ちかけられる。ここで金を手にしたギフンは、さらに大金が稼げるというゲームに招待される。
集められたのは、組織から狙われるチンピラ、脱北者、出稼ぎ労働者に脳腫瘍を患う老人など、ギフンと同じように人生崖っぷち状態の456人。そのなかに、大きな負債を抱えたギフンの幼馴染の秀才チョ・サンウ(パク・ヘス)もいた。
彼らは、優勝賞金456億ウォンに目がくらみ、詳細は知らされないまま誓約書にサインをし、第一のゲーム「だるまさんがころんだ」に参加する。簡単な子どもの遊びに安堵する参加者たちだが、かつて「はい、死んだ!」といって指を刺していたように、動いた者は文字どおり射殺されて死ぬ。パニックになって逃げ惑う人々、それを確実に銃弾が彼らの頭を胸を貫いてく。ここで、優勝賞金の総計がひとりひとりの命の値段であることが明かされる。
恐怖に慄いた参加者たちは、ルールに基づき、ゲーム続行か中断かを投票で決することになる。しかし、彼らはギリギリの人生を送っている者たち。ゲームから解放されても、金に追われる地獄という現実を突きつけられ、再び、人生の再起をかけてデスゲームに挑んでいく。
彼らの逃げ場のない人生は観る者に重くのしかかる。そして、再開されたゲーム。「型抜き」「綱引き」「ビー玉遊び」「飛石ガラス板渡り」「イカゲーム」と、頭を使い個人で戦うもの、チームやペアを組み団体で挑むものなど、それぞれ変化していく。
その過程で、人と協力、または利用し騙し合う。ゲームを重ねるたびに、隣にいた者を裏切り、殺していかなければ、自分が生き延びる術はない。そうして参加者の心は少しずつ壊れていった。
優勝したのは、ソン・ギフン。彼もまた参加前の陽気な性格は見る影もなく、心を無くして生きていたが‥‥。
26日から配信されたシーズン2は、シーズン1のラストシーン直後、そのまま第1話が始まる。
(広告の後にも続きます)
【シーズン2】 復讐を誓うリベンジャーズ
シーズン2は復讐の物語。
ゲームに優勝してから3年。ソン・ギフンは、あの残酷でふざけたゲームを終わらせるために、ゲーム運営組織を倒すため、優勝賞金を使い、メンコ勝負するスーツの男を探し続けていた。
シーズン1では、楽観的で計画性もないが、どこか優しさにあふれる男だったギフンだが、シーズン2ではそんなキャラクターから一変。正義の鉄槌を下すため、笑顔も見せず終始シリアスな表情で物語が進む。
シーズン1で、デスゲーム運営の内情を暴こうとし、結果、何もできなかった警察官ファン・ジュノ(ウィ・ハジュン)とともにゲームの黒幕の存在を暴こうとするなか、ギフンは再びゲームに参加することを決意する。そしてシーズン2では、運営スタッフ側の視点も描かれ、イ・ビョンホンが演じたフロントマンが思わぬ形で、ゲームに参加することになる。果たしてギフンは真実にたどり着くのか‥‥。
ゲーム開始当初、前シーズンをなぞるように演出、構成がなされている。これは明らかに意図的な作りで、観客をニヤリとさせると同時に、シーズン1と2の違いを対比させることで強調させている。「イカゲーム」未視聴でより本作を楽しみたい方は一気見をオススメする。
シーズン2から新たに、元BIGBANGのチェ・スンヒョン、元IZ*ONEのチョ・ユリといったアーティストから、イム・シワン、カン・ハヌル、パク・ソンフン、パク・ギュヨンら豪華な顔ぶれが加わる。そして今回は、1ゲームが終わるごとにゲーム続行か中断が投票されるのだが、この際、⚪︎と×のワッペンをジャージに付ける。これにより個人の意見が視覚化され、人々の分断が進み、対立が激化してしまう。新たなゲーム参加者たちは、優勝経験者のギフンとどういった関わりをしていくのかも一つの見どころである。
コロナパンデミック、ウクライナ侵攻と、世界は危うさを孕みながら生活する日々が続いている。格差はさらに広がり分断も進んだ。『ロッキー』の地元の街は、笑えないくらいリアルな「ゾンビ・タウン」となってしまった。過酷な競争社会を反映させたシーズン1配信から3年経ったいま、新シーズンはどう描かれたのか? 2025年に世界独占配信が予定されている完結編のシーズン3までじっくりと見定めてほしい。
文 / otocoto編集部
作品情報
Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン2
日本をはじめ世界94カ国で「今日の総合TOP1」を獲得し、Netflix史上最大のヒットシリーズの最新作。
監督:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、イム・シワン、カン・ハヌル、ウィ・ハジュン、パク・ギュヨン、イ・ジヌク、パク・ソンフン、ヤン・ドングン、カン・エシム、イ・デイヴィッド、チェ・スンヒョン、ノ・ジェウォン、チョ・ユリ、ウォン・ジアン、コン・ユ(特別出演)
Netflixにて世界独占配信中
作品ページ netflix.com/jp/title/81040344