ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた2つの銀河NGC 4496AとNGC 4496B。どちらも、おとめ座の方向にある銀河です。合体しているかのように見えますが、実は地球からの距離は異なっており、偶然重なって見えているだけです。NGC 4496Aは地球から4700万光年、NGC 4496Bは2億1200万光年の距離にあり、互いの重力で影響し合っていることはありません。

このように銀河が偶然重なることで、銀河内にある塵の分布を調べることができます。塵は星の光を吸収します。そのため星は暗く見え、また光は長波長側にシフトします。奥にある銀河からの星の光が、手前の銀河の塵によってどのように影響されるかを調べることで、手前の銀河の渦状腕のどこに塵があるのかを知ることができます。そのようにして得られる「塵の地図」は、宇宙論的な距離から銀河にある星のタイプまで、さまざまな測定値を較正するのに役立ちます。

画像は2022年2月28日に、ハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」としてリリースされたものです。

Credit:
ESA/Hubble & NASA, T. Boeker, B. Holwerda, Dark Energy Survey, DOE, FNAL/DECam, CTIO/NOIRLab/NSF/AURA, SDSS
Acknowledgement: R. Colombari

(参照)ESA/Hubble