今年も最高の盛り上がりを見せた「M-1グランプリ」(ABC・テレビ朝日系)。令和ロマンが史上初の2連覇を果たしたものの、ダークホースのバッテリィズや4連続の決勝進出となる真空ジェシカらが一歩も引かな...
実力者だが苦労人。エバースにようやく光が
1stラウンドでは848点の高得点(C)日刊ゲンダイ
かく言う僕も令和ロマンの格好良さには目が眩むが、今年はエバースから目が離せない一年だった。エバースは結成9年目。今回初めてM-1決勝に進み、4位と健闘した。
エバースが名前を知らしめたのは昨年のM-1の敗者復活。まだ知名度がないにも関わらず、人気者であり実力者であるトム・ブラウンを破ったことで話題になった。さらに今年は「上方漫才協会大賞」「ABCお笑いグランプリ」「NHK新人お笑い大賞」の決勝に進むなど、まさに大躍進だった。
個人的にはエバースが全決勝で違うネタをやっていたのに感心した。「M-1の決勝では弾切れになってしまうのでは?」と思っていたが、完成度の高い別ネタを披露しており、いらぬ心配だった。
エバースを今年知った人や、上で並べた情報だけ見ると「エバースも天才枠なのかな」と思ってしまうだろう。だがエバースは実は多くの挫折を味わい、血が滲むような努力の末に、ようやく光を浴びだした苦労人なのだ。
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SNSでは「令和ロマンさえいなければ…」の声も
1月からは地上波初冠番組が決定(C)日刊ゲンダイ
M-1の戦績でいえば2015年から2021年まで、1~3回戦でとどまっておりパッとしない。2019年になんとか3回戦に進出しているが、2020年には1回戦で落ちてしまっている。前年度の成績を下回るのは、芸人の感覚でいうとかなりつらい。
成功のビジョンが見えなくなり、芸人を諦めたくなるほどしんどい。実力主義の吉本では、この戦績では居心地もあまり良くなかっただろう。
一方、令和ロマンは2017年に初参戦し、2018年には準決勝まで駒を進めている。これだけでも令和ロマンのバケモノ具合が分かる。
バケモノじみた後輩の結果を近くで見ながらも、エバースは腐らず数多くのネタを作り、無骨にネタを磨いた。着実に実力を身に着け、それが今年花開いて数々の賞レースに出場。しかし立ちはだかったのが、また「令和ロマン」だ。
「神回」ともいわれた2024年のM-1(C)日刊ゲンダイ
ABCグランプリではエバースは3位にとどまり、令和ロマンが優勝。満を持して参戦したM-1決勝でも令和ロマンに阻まれ、4位となった。
X上では「今年令和ロマンが出てさえいなければ、エバースが繰り上がりで予選3位になって優勝のチャンスがあったかもしれない」というポストが多数のいいねを集めていた。