カウンター中心で隠れ家のような雰囲気を持つ。

立ち飲み屋が若者にブームらしい。次々に店ができるのはいいが、無駄に活気があって入りづらいと思うこともある。だからのんべえの終着駅といわれる蒲田で、静かに立ち飲みができるこの店を見つけた時はうれしかった。

客のメインは30代から50代だ。魚を中心に軽めのつまみが並ぶ。

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「蒲田ではハシゴ酒が一般的。次へ旅立っていく方も多いからシメを置いてないんです」

必ず頼むべきは刺し身の盛り合わせだ。日替わりで4種類の刺し身がのり、これだけで酒が2杯はいける。店主の目利きで選んだ魚はどれも新鮮そのもの。

おまかせ刺し身4点盛り合わせ(650円)。写真はアカエビ、ホタテ、フエフキダイ、締めさば。

神奈川県の酒『残草蓬萊』(ざるそうほうらい、490円)とともに。魚を楽しめる立ち飲み店として蒲田のはしりともいえる店だ。

しょうゆとみりんに一晩漬け、さっとあぶったイカも実にうまい。

「イカのしょうゆ漬けあぶり」490円

口に放り込み、イカとしょうゆの風味をしばし堪能したら、日本酒でそっと洗い流す。実際に店で出すまで何度も焼き加減を試行錯誤したというが、絶妙な噛み応えはもはや芸術的だ。

そら豆をペーストにして揚げた「そら豆のフライ」も滋養に溢れる味わい。

「そら豆のフライ」(390円)

多くの客は1時間程度で席を譲り、次の店へ。

「蒲田という街が大きな飲み屋みたいなもの。この街を楽しんでくれたらそれでいい」

外を見ると、サラリーマンが肩を組んでおだを上げている。酔っ払いが元気な街にはやはりいい飲み屋がある。

うおしゅらん

東京都大田区西蒲田7-63-3
080-7458-2345
営業時間:15時30分~22時(L.O.21時)、土・祝は14時~
休み:日曜、祝翌日、第2月曜

撮影・文/キンマサタカ
「週刊実話」10月10日号より