1979年に放映が始まった刑事ドラマ『西部警察』は、渡哲也さん、舘ひろしさん、石原裕次郎さんらが出演した人気番組でした。渡さん演じる大門団長は改造ショットガンを撃ちまくるなど、ド派手な銃撃戦と爆破シーンがお約束でした。今では撮影不可能な伝説のドラマとなっています。
「西部警察PART-I,II,III 全236話 予告集」(ポニーキャニオン)
【画像】「えっ、路面電車も爆破するんですか?」これが常識破りな『西部警察』の衝撃シーンです(5枚)
TVドラマの常識を破った伝説の刑事ドラマ
破壊した車両は4680台、使用した火薬量4.8トン、飛ばしたヘリコプターは600機、封鎖した道路は4万500箇所、書いた始末書は45枚……。これはハリウッド制作の海外ドラマではなく、日本の実在した地上波ドラマのデータです。1979年~1984年に放送された『西部警察』(テレビ朝日系)は、TVドラマの常識をぶち破った画期的な刑事ドラマとして記憶されています。
大門団長(渡哲也)率いる大門軍団が凶悪犯たちとド派手な銃撃戦とカーチェイスを繰り広げた『西部警察』は、「昭和の大俳優」石原裕次郎さん(1936年~1987年)の事務所「石原プロ」が制作した人気ドラマでした。2004年に放映が予定されていた『西部警察2004』では、1話につき制作費1億円を予定していたことからも、スケールの大きさが分かります。
2024年12月28日(土)は、石原裕次郎さんの生誕90年にあたります。日曜の夜8時を熱くたぎらせた『西部警察』の、型破りな伝説の数々を振り返ります。
(広告の後にも続きます)
巨大な装甲車がテレビ朝日を襲撃
1979年10月14日に放送された第1話「無防備都市」から、視聴者に強烈なインパクトを与えました。突如、東京の銀座に巨大な装甲車が出現。パトカーを踏み潰し、上空のヘリコプターを砲撃で撃ち落とします。装甲車は東京駅、国会議事堂を経て、六本木にあった旧テレビ朝日を襲撃します。都心部は大パニックに陥ります。
押井守監督の劇場アニメ『攻殻機動隊パトレイバー2 the Movie』(1993年)は日本の首都・東京がテロ攻撃に脆弱なことを描き、高評価を受けました。『西部警察』はそれよりも14年も早く、しかも実写ドラマとして描いていたのです。
当初、石原プロは本物の戦車を走らせるつもりで、ソ連(現在のロシア)と交渉したそうです。しかし、ソ連軍によるアフガニスタン侵攻が問題になり、これを断念。続いて自衛隊に打診したものの、「駐屯地以外で走らせることはできない」と断られました。
石原プロのすごいところは「借りられないのなら、作ればいい」と、小松製作所に発注してオリジナルの装甲車を作ってしまったことです。キャタピラー付きの戦車にしたかったそうですが、舗装道路をぐしゃぐしゃにしてしまうことから、重機用の巨大タイヤ付き装甲車になったそうです。
「西部警察」シリーズには、渡哲也、石原裕次郎をはじめ、舘ひろし、寺尾聰、峰竜太など、名だたる俳優陣が参加していた。『西部警察DVDコレクション』(アシェット・コレクションズ・ジャパン)より (C)石原音楽出版社