CONTAX ブランドの歴史
Contaxとは、1932年にZeiss Ikon(ツァイス・イコン)から誕生した高級カメラブランド名である。当初は王道のレンジファインダー機にその名を冠しており、Leitz社のライカとの競争はあまりにも有名だろう。
第二次大戦後のドイツ東西分断を経て、レンジファインダーの時代が終わり1961年にContaxブランドは休止した。1970年代に入り西ドイツのZeiss Ikonがカメラ事業から撤退したのち、複数の日本メーカーと交渉しブランドのライセンス契約という形で、富岡光学を子会社に持つヤシカと提携。こうしてヤシカが製造する高級カメラとして「CONTAX(大文字標記に変更された)」が蘇った。いわゆる「ヤシカ・コンタックス」の誕生である。
1975年に発売されたヤシカ製コンタックス初号機「RTS」は、ポルシェ・デザイン(ポルシェから独立したドイツのデザイン事務所)にデザインを発注するなどして話題を集め、その後人気シリーズを展開することになるのだが、テレビ受信機事業の頓挫や横領事件、オイルショックなどが重なり同年にヤシカは経営破綻。
そのヤシカをのちに吸収合併したのが、当時エレクトロニクス分野で急成長していた京セラ(当時の京都セラミック)であった。ヤシカも京セラも電子化・自動化の技術に優れており、電子化とブランド力を活かした付加価値の高い市場を確立していくのである。だが時代も流れ、そこにもデジタル化の波が押し寄せることになる。
AF搭載のNシステムや、Nデジタルを発売するなど時代に対応しようとするが、2005年にはついにカメラ事業から撤退。しかしそれ迄の間に、コンパクトカメラから中判カメラまで多くのコンタックス製品が発売された。
その中で唯一無二の光を放つのが本機「CONTAX 645」である。
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CONTAX 645の特徴
CONTAX 645の最大の特徴は、Carl Zeissの中判レンズがAFで使えてしまうことだろう。AF駆動には超音波モーターを採用し、中判一眼レフとしては静かでスピードも決して遅くない。またAF後にMFへ移行するフルタイムマニュアルが可能であったり、現在の観点でも使いやすい仕様となっている。
業務機で多く採用されるレンズシャッターではなく、電子制御式のフォーカルプレンシャッターを採用し、1/4000秒の高速シャッターを実現している点も見逃せない。たとえ晴天下であっても、ツァイス・レンズを絞りを開けて楽しむことができる。
なお、同年に発売された「Mamiya 645AF」でも、1/4000、1/125シンクロを実現しているのだが、本機が数ヶ月先である。1999年当時としては中判カメラで1/4000が切れるのは大きなアピールポイントだった。