2024年のニュースを引っ張ったのは、ドジャース・大谷翔平の大活躍と日本人選手が躍動したパリ五輪の話題。海外開催のオリンピックで最多となる20個の金メダルを獲得し、なかでも体操の岡慎之助選手は団体、個人総合、種目別鉄棒で3つの金を手にした。チーム最年少20歳での戴冠はあっぱれと言うほかないが、これを伝えた情報番組「ひるおび」の報道姿勢には疑問の声が殺到した。(2024年8月2日配信記事)
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日本時間の8月1日、パリ五輪で体操男子個人総合決勝が行われ、日本の岡慎之助選手が6種目合計86・832点で金メダルを獲得した。同1日にオンエアされたTBS系情報番組「ひるおび」でクローズアップしたのは、わずか0・233点差で2位に終わった中国の“大エース”こと張博恒選手。スタジオでは専門家が張選手の実力を称賛するも、出演者たちと笑いものにする一幕があり、視聴者から批判が殺到している。
番組では、張選手を「スーパーオールラウンダー」と称して、7月31日(日本時間)に行われた体操団体では、ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目すべてで演技を行ったと説明。元体操日本代表で五輪メダリストのタレント・池谷幸雄は「すごいオールラウンダーなので、この選手出さないと、絶対点数が取れないんで出るしかない」と語ったうえで、「6種目やってたうえで個人総合ですから。6種目なので、けっこう大変なんですね」と張選手を慮った。
その後、池谷は張選手について、「点数も取らないといけないし、まわりにも気を使わなきゃいけない。(団体で)失敗した選手にも気を使わなきゃいけなかったり、ものすごい大変だったと思うんですよ」と述べて、「疲労はめちゃくちゃ溜まってます」と指摘。「面白いのは登場した時から、『疲れてんな、張選手。大丈夫かな~』って感じ」と着目したのは個人総合の入場シーンだった。
入場シーンのVTRでは、日本の岡選手が両手をあげて声援に応えているのに対して、張選手は肩を落としており、足取りも重く、どこか元気がなさそうに見える。これに池谷は「ホラ!ちょっと顔見てください。ヤバいですよ」と笑い声をあげて、MCの恵俊彰も「確かに、終わった後みたいな感じが」とコメントすると、スタジオは大きな笑い声に包まれた。池谷は「やっぱり疲れてるんですよ、ホラ!」と強調していたが、SNSでは《2位の中国選手を笑いものにしてる》《ホラホラとか言って笑うのはどうかと思う》《中国の選手をバカにしているようで不快すぎる》などと批判が殺到していた。
「日本の岡選手と金メダルを争った張選手のすごさを改めて知ることができた意味では、とても意義のある内容だったと思います。ただ、岡選手が金メダルを獲得できたのは、まるで張選手の体調や中国のチーム事情が大きく影響していたとも受け取れる内容。何より、疲労困憊の中国選手をスタジオで嘲笑するシーンに、多くの視聴者が違和感を抱いたのは当然のことかもしれません」(メディア誌ライター)
日本選手の金メダル獲得はうれしいが、敗れた相手選手にも敬意を払ってほしい。