「スター・ウォーズ」の最新ドラマシリーズ「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」(ディズニープラスで独占配信中)で、フォースを操る“謎の男”ジョッドを演じているジュード・ロウ。ギリシャ彫刻のように美しいルックスと抜群の演技力を兼ね備えた英国俳優のロウは、ちょうど本日12月29日で52歳の誕生日を迎える。そこでハリウッドの王道を行くエンタメ作品から良質なアート系映画まで、ロウの華麗なるキャリアを振り返ってみたい。
フォースを操るジョッドはひと癖あるアウトローな男! / [c]2024 Lucasfilm Ltd.
■色気とオーラがすごい…新進スターとしてのキャリアを重ねる
最初に舞台俳優として多くのステージに立ったロウは、1994年にローレンス・オリヴィエ賞新人賞にノミネートされ、翌1995年にブロードウェイでの舞台「Indiscretions」でシアター・ワールド賞を受賞、トニー賞助演男優賞にもノミネートされるなどして、この時点ですでに頭角を現す。
『ガタカ』での悲劇の青年役で注目されたジュード・ロウ / [c]2024 Lucasfilm Ltd.
映画界に進出してからは、脇ながらもその美貌と存在感で数多くの作品で爪痕を残していく。『オスカー・ワイルド』(97)のワイルドな美青年役をはじめ、アンドリュー・ニコル監督作『ガタカ』(97)での悲劇を背負った元水泳選手役、そしてクリント・イーストウッド監督作『真夜中のサバナ』の男娼役などを演じ、熱い視線を浴びる。いずれの役どころでも、あふれんばかりの色気やオーラがダダ漏れで、注目の新進スターとして順風満帆にキャリアを重ねていく。
■演技派俳優として認められたアンソニー・ミンゲラ監督作『リプリー』や『コールド マウンテン』
【写真を見る】『リプリー』でのフェロモンビームで女子たちを悩殺…ジュード・ロウ出演作をプレイバック / [c]Everett Collection/AFLO
ロウが映画俳優としても確かな実力を世に知らしめたのは、アンソニー・ミンゲラ監督作『リプリー』(99)だ。アラン・ドロン主演映画『太陽がいっぱい』(60)の原作として知られるパトリシア・ハイスミスの小説をマット・デイモン主演で映画化した本作。ロウは傲慢だが魅力的なディッキー役を演じ、第72回アカデミー賞や第57回ゴールデン・グローブ賞で助演男優賞にノミネートされ、第53回英国アカデミー賞助演男優賞に輝いた。
『A.I.』の男性型セックス・ロボット“ジゴロ・ジョー”役 / [c]Everett Collection/AFLO
そして、日本でも多くの世代に認知されたのが、スティーヴン・スピルバーグ監督のSF大作『A.I.』(01)だ。ロウが演じたのは、女性を悦ばせる男性型セックス・ロボット、その名も“ジゴロ・ジョー”。彼の端正なマスクが役柄にぴったりハマり、ロボットという無機質なキャラクターに息吹を注いだロウは、第59回ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。
『コールドマウンテン』ではニコール・キッドマンとの熱いキスシーンで観客を魅了 / [c]Everett Collection/AFLO
続いて『リプリー』のミンゲラ監督と再タッグを組んだ南北戦争を描いた純愛ドラマ『コールドマウンテン』(03)に出演。本作で故郷のコールドマウンテンで待つ恋人を想う南軍兵士役を熱演し、第76回アカデミー賞や主演男優賞や第61回ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞にノミネートされ、ハリウッドスターとして、盤石の地位を確立。
■ワトソンとダンブルドア役で日本でも人気スターに!
マーティン・スコセッシ監督作『アビエイター』でエロール・フリン役 / [c]Everett Collection/AFLO
その後も、俳優としてのアンテナの感度が高く、マーティン・スコセッシ監督作『アビエイター』(04) や『ヒューゴの不思議な発明』(11)、ウォン・カーウァイ監督初の英語作品『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(07)、テリー・ギリアム監督作『Dr.パルナサスの鏡』(09)、スティーヴン・ソダーバーグ監督作『コンテイジョン』(11)、ウェス・アンダーソン監督作『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)など、数々の名監督のもとで様々な役にトライ。俳優としての円熟味も加わり、守備範囲が広く安定感たっぷりの実力派俳優として名を馳せていく。
ロバート・ダウニー・Jr演じるホームズと、ロウ演じるワトソンの名コンビが最高の「シャーロック・ホームズ」シリーズ / [c]Everett Collection/AFLO
また、2009年に、ロバート・ダウニー・Jr演じるホームズと、ロウ演じるワトソンの名コンビによる『シャーロック・ホームズ』(09)が大ヒットしてシリーズ化され、日本でも人気を博す。
「ファンタスティック・ビースト」シリーズでホグワーツ魔法魔術学校の校長、アルバス・ダンブルドア役 / [c]Everett Collection/AFLO
さらに「ハリー・ポッター」シリーズのスピンオフ的な位置づけとなる「ファンタスティック・ビースト」シリーズの第2作目『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(18)に出演し、同作以降で、ホグワーツ魔法魔術学校の校長、アルバス・ダンブルドア役を好演している。
加えて『キャプテン・マーベル』(19)ではマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に初参加し、遂に「スケルトン・クルー」で「スター・ウォーズ」シリーズにも初参戦!いまや幅広い世代から愛される人気俳優として八面六臂の活躍を見せている。
■マスター・ヨーダならぬ“マスター・ロウ”として現場をサポート
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」で若き共演者たちをサポートしたジュード・ロウ / [c]2024 Lucasfilm Ltd.
そんなロウだが、俳優としての原点を遡ると、「スター・ウォーズ」に行き着くそうだ。ポップ・カルチャーの祭典「東京コミコン2024」でゲストとして登壇したロウが「『スター・ウォーズ』の映画を見たのは1977年で、私はまだ小さな男の子だったんですけど、その映画を観たことによって映画館に行くという体験、そして少年として遊び方も変わったんです。自分以外の何者かになって遊ぶということ、自分の想像力を使うということがやってきました。その意味ではそれがいまの私のキャリアにつながっているかもしれません」と明かしていた。
「スター・ウォーズ」ファンだったジュード・ロウは「スケルトン・クルー」への出演に大喜び! / [c]2024 Lucasfilm Ltd.
すなわちロウは、「スケルトン・クルー」にて待望の「スター・ウォーズ」初出演を果たせたわけだ。本作は平和と正義の守護者ジェダイがおとぎ話となった時代に、危険な銀河に迷い込んだ4人の少年少女たちが“謎のフォースの使い手”ジョッドと出会い、壮大な冒険に繰り出していくという冒険ファンタジーとなっている。彼が演じたジョッドは、ハン・ソロを思わせるような、ちょっと胡散臭くもアウトローな男。ロウが演じることで“ただ者ではない感”が加味され、ひと筋縄ではいかないチャーミングな人物像となっている。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」でゾウのような可愛い見た目で人気のニール(ロバート・ティモシー・スミス) / [c]2024 Lucasfilm Ltd.
また、冒険に繰り出す4人の子どもたちの1人、ファーンを演じたライアン・キーラ・アームストロングは、「私たちにとっては、彼の演技力はマスタークラスで、本当に魅力的でした」とロウの演技力に魅了されたと言う。ゾウのような可愛い見た目が話題を呼んでいるニール役のロバート・ティモシー・スミスも、「ジュードは『このシーン、私はこうやって演じるよ』と教えてくれたりもしました」と、ロウ自らがお手本を提示し、共にシーンを作り上げてくれたことも明かしている。いわばロウは、マスター・ヨーダならぬ“マスター・ロウ”として現場で若い後輩たちをサポートしていたのだ。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」はディズニープラスにて独占配信中 / [c]2024 Lucasfilm Ltd.
ロウ自身も4人との共演を振り返り「彼らはすばらしい俳優たちで、芝居や現場のルールを学ぶことにとてもオープンでした。シリアスなムードが必要な時はシリアスに、エモーショナルなムードが必要な時はエモーショナルに演じる力があるんです。彼らがまだ10代の子どもだからこそ、楽しくて、おバカになったり、ふざけたりして、そういったエネルギーを撮影現場に持ちこむことができました」と述懐。目下の共演者を称える謙虚さと懐の深さも、ロウが一流のスターである証なのかもしれない。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」は全8話中第5話まで配信中。ホリデーシーズンにもってこいの本作は、物語的にも折り返しを迎えたタイミングだ。ぜひともこの冬休みは最新話まで本作を鑑賞して、ジュード・ロウの魅力もたっぷりと堪能していただきたい。
文/山崎伸子