巨匠・黒澤明の助監督を務め、監督デビュー作『雨あがる』(00)以来、一貫して人間の美しい在り方を描いてきた小泉堯史監督が、吉村昭の原作「雪の花」(新潮文庫刊)を映画化。日本映画を代表する豪華キャストとスタッフが集まり、多くの人命を奪う疫病と闘った町医者の愛と感動の実話を描く 本格時代劇、『雪の花 ―ともに在りて―』が2025年1月24日(金)に全国公開となります。

江戸時代末期。死に至る病・疱瘡(天然痘)が大流行し、多くの人命が奪われていく中、福井藩の町医者・笠原良策(松坂桃李)は、どうにかして人々を救う方法を見つけようとする。妻・千穂(芳根京子)に支えられながら、京都の蘭方医・日野鼎哉(役所広司)に教えを請いに出向いた良策は、異国では疫病の予防法として「種痘」が行われている事を知る。予防法成功の鍵となる「種痘の苗」を入手すべく、様々な困難にぶつかりながらも絶対に諦めない良策の志は、やがて藩を、そして幕府をも巻き込んでいく。知られざる無名の町医者は、どのようにして日本を救ったのか――?

「時代劇」と聞くと現代人にとってはどうしても自分とは縁遠い物語だと思いがちだが、そんな状況を一つのニュースが大きく変えた。今年9月に行われた米テレビ界の“アカデミー賞”ともいわれている最高峰の賞「第76回エミー賞」にて、俳優の真田広之がプロデュース・主演を務めるディズニープラスのドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』が、作品賞・主演男優賞・主演女優賞をはじめとした主要部門を総なめにし、エミー賞史上最多18部門を制覇、日本人の受賞者も史上最多の9名という歴史的な快挙を成し遂げました。このニュースは瞬く間に日本中でも広がり、「時代劇」に対する距離感がグッと縮まった出来事でした。

さらに、今年8月に公開された映画『侍タイムスリッパ―』は、最初一館のみで封切られた作品だが、口コミで話題が広まったことから全国100館以上で順次拡大公開されるなど、時代劇の波が着々と押し寄せています。

11月には『仁義なき戦い』シリーズなどで知られる名脚本家の笠原和夫が残した幻のプロットを、『孤狼の血』『碁盤斬り』の白石和彌が監督した『十一人の賊軍』が公開。来年1月には垣根涼介の時代小説を大泉洋主演で実写映画化した戦国アクション映画『室町無頼』が公開するなど、本格時代劇からアクションものまで老若男女問わず楽しむことができる時代劇が目白押しだ!当時生きた人々が前代未聞の挑戦や苦難に立ち向い、偉大なことを成し遂げたからこそ “今”がある。そう考えると「時代劇」との距離が不思議と近く思えませんか?この年末年始に、どっぷりと時代劇の世界に浸りましょう!

■『雪の花 ―ともに在りて―』(2025年1月24日公開)



江戸時代末期、有効な治療法がなく多くの人の命を奪ってきた痘瘡(天然痘)。福井藩の町医者・笠原良策(松坂桃李)は、その痘瘡に有効な「種痘(予防接種)」という予防法が異国から伝わったことを知り、京都の蘭方医・日野鼎哉に教えを請い、私財を投げ打って必要な種痘の苗を福井に持ち込んだ。しかし、天然痘の膿をあえて体内に植え込むという種痘の普及には、さまざまな困難が立ちはだかる。それでも良策は、妻・千穂(芳根京子)に支えられながら疫病と闘い続ける。

■『室町無頼』(2025年1月17日公開)



1461年、応仁の乱前夜の京。大飢饉と疫病によって路上には無数の死体が積み重なり、人身売買や奴隷労働も横行していた。しかし時の権力者は無能で、享楽の日々を過ごすばかり。そんな中、己の腕と才覚だけで混沌の世を生きる自由人・蓮田兵衛(大泉洋)はひそかに倒幕と世直しを画策し、立ち上がる時を狙っていた。一方、並外れた武術の才能を秘めながらも天涯孤独で夢も希望もない日々を過ごしていた青年・才蔵(長尾謙杜)は、兵衛に見出されて鍛えられ、彼の手下となる。やがて兵衛のもとに集った無頼たちは、巨大な権力に向けて暴動を仕掛ける。そんな彼らの前に、兵衛のかつての悪友・骨皮道賢(堤真一)率いる幕府軍が立ちはだかる。

■『十一人の賊軍』(2024年11月1日公開)



1868年、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍(官軍)の間で争われた戊辰戦争。そのさなか、新政府軍と対立する奥羽越列藩同盟に加わっていた新発田藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた、同盟への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた罪人たちが、新発田藩の命運を握る、ある砦を守る任に就き、壮絶な戦いに身を投じる姿を描く。

■『侍タイムスリッパ―』(2024年8月17日公開)



幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門(山口馬木也)は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、がく然とする。一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、生きる気力を取り戻していく。やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、斬られ役として生きていくことを決意する。

■『SHOGUN 将軍』(ディズニープラス「スター」にて独占配信中)



ジェームズ・クラベルの小説を基に脚色された物語は、1600年の天下分け目の戦い前夜の日本が舞台。敵対勢力による命の危機が迫る中、吉井虎永(真田広之)は命を懸けて戦っていた。そんななか領地の漁村にヨーロッパ船が漂着しているのが発見される。その船のイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(後の按針)は、虎永劣勢の局面を打開し、自身の敵であるイエズス会の神父とポルトガル商人の支配を壊滅させることができる秘密を持っていた。虎永と按針の運命の鍵を握るのは、二人の通訳を務める戸田鞠子(アンナ・サワイ)だった。鞠子はキリシタンの謎多き高貴な女性で、謀反人の一族の唯一の生き残りである。この緊迫した情勢の中、虎永に仕える一方で、鞠子は按針との新たな交わり、自分を救ってくれた信仰、そして亡き父への務め、と折り合いを付けることを迫られる。

(C)2025映画「雪の花」製作委員会