ワイン愛好家のマクロン大統領が本腰を入れる気候対策
具体的にどんな対策を取っているのか、ローランさんが続ける。
「例えば一部の赤ワインの醸造では、従来の除梗(じょこう/ぶどうのヘタや柄を取り除くこと)をやめ、全房発酵を取り入れることで、果実味や酸味を保ちながらエレガントな味わいを引き出す工夫がされています。またシャルドネやピノ・ノワールのクローンを利用した耐熱性のある品種の研究や、古い品種の遺伝資源を保存して将来的な改良や適応に備えています」
さらに国家的なプロジェクトとして、気候変動による新たな病害や虫害への対策が進行中で、ワイン愛好家で知られるマクロン大統領の気候変動対策の一環であり、農業分野での持続可能な取り組みとして積極的に推進している。
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「過去の豊作で数年間は価格が安定する見通し」という見方も
そうなると一方では調査や研究にかかるコストがワインの価格を押し上げることが懸念される。加えて今年再び収量がガクンと減少しているのを見ると、近い将来ブルゴーニュワインがやはり雲の上の存在になる不安をぬぐえない。
「2021年のような急激な価格高騰はないと思いますよ。22年と23年の在庫が十分に確保されているので需要を満たす余力があります。また世界的なインフレによりマーケット全体が高価格に敏感になっていますし、何より生産者自身が価格をこれ以上上げないよう意識しているのです。今後3~4年は価格が安定する見通しで、日本市場でも『手の届かないワイン』になる心配はしばらくありません」とローランさんは自信をもって話す。