投機の影響も大きいのも現実
一方の瀬川さんの見方はこうだ。
「例えばロマネ・コンティのような超高級ワインはもともと入手困難な存在ですが、その他の高級ワインも注目度や需要が急激に高まれば、今後さらに値上がりする可能性があると考えられます。たとえば、アルマン・ルソーのシャンベルタンは、2010年頃までは約2万円で購入できていましたが、今ではインターネットで90万円から100万円で取引きされているものまであります」
その大きな要因が投機筋からの影響。現在ボルドーはやや落ち着きを見せているが、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワのミュジニーやロマネ・コンティは、特に桁違いの価格で取引されるようになった。記憶に新しいところでは、今年6月のオークションで、ドメーヌ・ルロワ・ミュジニーの2015年が713万円で落札されたことが話題になった。
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今買うなら、ブルゴーニュ南部やローヌ地方のワインがねらい目
一作年と昨年の豊作が頼りといっても、長期的には気候や市場環境次第で価格が再び上昇する可能性は否定できない。しかしすべてのブルゴーニュワインが高騰しているわけではない。オルタナティブにお財布事情に合わせて楽しむことはできる。
ブルゴーニュのシャブリ地区は、比較的手が届きやすい価格帯のワインが多い点で注目される。南エリアは超高級銘醸地のような価格高騰が見られず、作り手によって価格も幅広い。またシャブリのワインは、もともと酸が強くキリッとした味わいが特徴なのだが、気候変動の影響がメリットとなり、最近では程よく丸みを帯びた親しみやすい味わいに変化したという声もある。
最後に瀬川さんからの朗報だ。
「値上がりする前に考えるなら、マコネ地区などのブルゴーニュの南部やローヌ地方に注目するのもいいかもしれません。ローヌのワインは、まだ比較的手頃なものも多く、投資やコレクションにも狙い目だと思いますよ」
年末年始はワインを楽しむ機会も多い。ブルゴーニュワインと日本料理は「精妙さ」と「繊細さ」という点で相性も良い。まずは価格を気にせずに楽しみたいものだ。
文/浦上優