事業継承や老朽化した設備への投資といった問題により、いままた新たに存続の危機を迎えているミニシアター。このような状況を打破するため、全国の映画館や興行場を束ねる全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)が立ち上げたプロジェクト「#ミニシアターへ行こう」第4弾として、北海道札幌市にある“サツゲキ”の魅力を紹介していく。
お笑い芸人で映画紹介人のジャガモンド斉藤と、MARVELファンであり「コミック・ブック・コンベンション」のオフィシャルサポーターを勤める関根ささらの、映画に造詣が深い2人がアンバサダーを務め、劇場支配人の横澤の案内のもと行われた今回の動画撮影、その様子を届ける。
12月、北海道札幌市にある狸小路商店街に突如として現れるミニシアター“サツゲキ”を訪れた、斉藤と関根。サツゲキは、2019年に前身となる「ディノスシネマズ札幌劇場」がビルの老朽化のため閉館となり、その後劇場の再開を目指したクラウドファンディングによって、新たに「サツゲキ」の名前で、コロナ禍真っ只中の2020年7月に営業を開始したという歴史を持つ。サツゲキという館名には逸話があり、横澤支配人によると、「前の映画館が札幌劇場という名前で、市民の皆様が札幌劇場のことをサツゲキと呼んでいた」とのことで、「あだ名をそのままオフィシャルにした感じなんですね」と斉藤。「その方がお客様にも愛着を湧いていただけるんじゃないか、と思い、“サツゲキ”にしました」と横澤支配人は嬉しそうに話す。
また館内には、フィルム上映時代のフィルムやリールの展示、取り壊し前のビルの壁面など、歴史を感じさせる仕掛けが。階段の踊り場にはクラウドファンディングで出資したお客様の名前が全員分書かれたパネルが展示されており、まさに「札幌の皆さんに支えられた劇場ってことですよね」と斉藤。劇場への愛や、長い歴史を引き継いでいくという思いが込められた展示物に、「こういうの見てると泣きそうになる」と、関根は感激の様子を見せた。
チラシラック前で足を止めた関根さんが、「見たい映画がいっぱい!」と、多種多様な作品ラインナップに目を輝かせると、横澤支配人は「色とりどりというか、ジャンルが、ホラーもあればドキュメンタリーもあって、コメディもあってっていう、選択肢が多いっていうのがやっぱりミニシアター楽しいところなのかな、と思います」と語り、「それがお客様の楽しみにつながっているはず」とサツゲキファンのお客様に、思いを馳せていた。
こだわりがたくさん詰まっているのが、座席数48席のシアター3番だ。「狭いけど、なんかここ好き!と思ってもらえるような造り(スクリーン)にしたいと思った」と横澤支配人が話す通り、材質が違う椅子をランダムに配置したり、すべての座席で自分用の肘掛けが両サイドに用意されていたり、通路の幅を広めに確保していたりなど、様々な角度からのこだわりを感じるスクリーンに。そんなスクリーンに斉藤も関根も大興奮のようで、実演付きでその快適さを余す所なく表現した。またこちらのスクリーンは、太鼓張りという少し特殊な手法を使ったスクリーンとなっている。通常は外側にバーがあり、そこで引っ張ってスクリーンを張っているが、こちらはそれを裏側に巻き込んで、まさに太鼓のように張っているとのことで、その裏側にもカメラは潜入している。
館内の至る所で“歴史”と“市民の人たちからの愛情”を感じ、サツゲキの魅力に触れた斉藤と関根が「歴史を踏まえながらちゃんと成り立っていて、なにより感動するのは、商店街に馴染みすぎてわかりづらいくらい、街に根付いている」と振り返ると、最後に、横澤支配人は「もっともっと皆さんに(サツゲキを)知っていただいて、もっともっとミニシアターの良さを味わっていただきたいなと思います」と締めくくった。
ぜひ今回の動画を通し、こだわりや映画への愛が込められたミニシアターの魅力を再確認してほしい!
文/サンクレイオ翼