NASA(アメリカ航空宇宙局)の太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが2024年12月24日、太陽の表面から約610万kmまで最接近しました。最接近時のパーカー・ソーラー・プローブの速度は時速69万2000kmで、人工物としてこれまでで最も速い速度を達成しました。
パーカー・ソーラー・プローブはカーボンフォーム製のシールドを使い、太陽からの強烈な熱から機体を守っています。太陽への最接近時にはシールドは約980℃に達するとみられています。12月26日に地上の運用センターで信号を受信し、探査機が今回の接近を無事に乗り切ったことが確認されました。
パーカー・ソーラー・プローブ以前は、1976年4月にヘリオス2が太陽表面から約4340万kmまで近づいたのが最接近記録でした。2018年8月に打ち上げられたパーカー・ソーラー・プローブは、打ち上げまもない2018年11月に太陽表面から約2400万kmまで接近してヘリオス2の記録を42年ぶりに更新。2023年9月には太陽表面から約726万kmまで接近していました。
パーカー・ソーラー・プローブは、金星での7回のフライバイによって、重力を利用して太陽に近づいてきました。11月6日に実施された最後の金星フライバイによって、パーカー・ソーラー・プローブは今回の最接近のための軌道に乗りました。現在は3か月で太陽を1周する軌道にあり、2025年3月22日と6月19日にも今回とほぼ同じ距離まで太陽に近づく予定です。
(参考記事)太陽探査機がとらえた太陽コロナ内部のようす
Image Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben
(参照)Johns Hopkins Applied Physics Laboratory、NASA