【スターダム】キッドが5度目の挑戦で悲願のワンダー王座戴冠 「諦めなくてよかった!」

『STARDOM DREAM QUEENDOM 2024』両国国技館(2024年12月29日)
ワンダー・オブ・スターダム選手権試合 ○スターライト・キッドvsなつぽい×

 キッドがライバルのなつぽいを下し、5度目の挑戦で悲願のワンダー王座戴冠。「諦めなくてよかった!」と喜びを爆発させた。

 キッドは11・10千葉大会、12・8浜松大会でワンダー王者・なつぽいを連続撃破。因縁のライバルから勝利を上げて、満を持してワンダー王座挑戦を表明した。キッドのワンダー王座挑戦は今回で5回目。これまで4回も挑みながら惜しいところで白いベルト取りを逃してきたキッドは、保持していたアメリカのスパーク王座を返上。悲壮な決意を胸に、なつぽいとの8度目の一騎打ちに臨んだ。

 ベルト奪取に燃えるキッドはケブラーダで主導権をたぐり寄せると、得意の足攻めへ。しかし、なつぽいもダイビングボディアタックから右腕を狙い撃ちにして、試合は消耗戦の様相に。キッドはドラゴンスクリューでなつぽいの動きを止めると、しつこくマフラーホールドで右足に絡みつく。動きの鈍ったなつぽいに旋回式ボディプレスを投下した。

 流れを変えたいなつぽいは捨て身の雪崩式ジャーマンを敢行。たまらず場外に転落したキッドめがけて、コーナーからプランチャを見舞う。さらに、フェアリアルギフトを放ったものの、キッドは剣山で撃墜。足攻めを再開してなつぽいの動きを止めると、黒虎天罰(変型ツームストン)を皮切りに、ムーンサルトプレス、タイガードライバーと怒とうの大技ラッシュ。マフラーホールドに捕らえると、そのままぶん回してからギブアップを迫った。

 なつぽいはスキを突いてのラ・マヒストラルで必死の抵抗。ぽい捨てジャーマン、トラースキックからフェアリープリンセス(変型飛びつき腕十字固め)に捕獲して絞めに絞めた。一転して大ピンチに陥ったキッドがなんとかロープに逃れると、なつぽいは今度こそフェアリアルギフトを投下。しかし、続くスカイツイスタープレスをキッドは自爆させて、試合はイーブンに。

 2人はエルボー合戦で真っ向から火花。裏の読み合いからキッドはタイガースープレックスを繰り出すが、連発はなつぽいが前方に崩して阻止し、得意技のフェアリーマジックやフェアリアルリングで連続して丸め込んだ。さらに、フェアリーストレイン(クロスアームスープレックス)へ。豪快に決まったものの、キッドはキックアウトして大歓声を呼び込む。ならばとなつぽいはコーナーに上がるが、駆け上がったキッドがエターナルフォー(雪崩式スパニッシュフライ)を敢行。黒虎天罰で突き刺すと、最後はスタースープレックスホールドで3カウントを奪った。

 キッドがなつぽいを破り、悲願のワンダー王座奪取。マイクを持つと、「なつぽいがやっとの思いで取れたベルト、私もやっと、やっと、やっとの思いで取れた。両思いがぶつかり合ったから、私たちの今までの戦いの中で一番死闘だったし、お互いやることはやりきったよね」となつぽいにメッセージを送る。そのうえで「でも、その中で今日勝ったのは私! いつも私がベルト奪ってばっかりだからさ、次はなつぽいがこのベルトを奪い返しに来てよ」とエールを送ると、2人は握手を交わした。リングを去っていくなつぽいに、さらに「あなたは私にとっていなくなちゃならない大事なライバルだから。だから、これからもずっと絶対負けないから」と声をかける。

 キッドは改めて「第4代、ワンダー・オブ・スターダムチャンピオンになりました、スターライト・キッドです」とあいさつ。感極まって声を震わせると、場内は「SLK」コールに包まれた。キッドは「諦めなくてよかった!」と喜びをあらわに。「それでもずっと応援してくれて、ついてきてくれたファンの皆さんに一番に感謝を伝えたいです。本当にありがとうございます。私が巻いたからにはワンダーのベルトを一番輝かせます」と約束すると、「最後に両国の皆さん、もう一度大SLKコール、聞かせてもらってもいいですか?」と投げかけた。

 再び両国が「SLK」コールに包まれると、キッドは「チャンピオンになれて、こんなにたくさんのSLKコールが聞けて、本当に幸せです。来年はホワイトタイガー、SLKの年にしたいと思いますので、これからも応援よろしく!」とさらなる飛躍を誓った。

 バックステージでも「ハイスピードを8回目で獲った時とか、他のベルトを獲った時もそう。いっつもこう思うんです。諦めないで、プロレス辞めなくてよかったって。本当にベルトに嫌われるなっていうぐらいさ、何回も挑戦しないと獲れないことが多かったから」と白いベルトを奪取した喜びを噛みしめたキッド。「私自身だけのためじゃなくて、この女子プロレス界の可能性をもっともっと広げたいって、そう思っちゃいました。欲深き黒虎に…欲深きホワイトタイガーに諦めるって選択肢はありえないんで。あと、来年私は10周年になります。来年はホワイトタイガー、SLKの年にしたい!」と2025年に向けて決意を新たにしていた。

【キッドの話】「最高のライバル・なつぽいから最高の舞台・両国で、やっと…やっと獲れました! 今年中に巻きたいっていう目標が叶えられて、本当によかった。またね、自分が自分への期待を裏切るようなことがあったら、どうなってたかわからない、正直。でもね、ハイスピードを8回目で獲った時とか、他のベルトを獲った時もそう。いっつもこう思うんです。諦めないで、プロレス辞めなくてよかったって。本当にベルトに嫌われるなっていうぐらいさ、何回も挑戦しないと獲れないことが多かったから。やっぱりこの苦しくて、つらい時間が自分を成長させてくれて、何よりも諦めないことが大事なんだって。このプロレス界で一番それ証明できてますよね。プロレスに限らず、決して可能性を諦めないでほしいって、みんなに対してそう思います。それを私がこのプロレスで伝え続けたい。あと、このベルトを今巻いて、いろんな感情や、過去の、現在のいろんなものが伝わってきて、メッチャ重たいです。でも、やっと手にしたこのベルトだからさ。私はもっともっと重たくしたいな。プロレス界、関係者、マスコミ、ファンの皆さん、全部の目を私がひっくり返す。私自身だけのためじゃなくて、この女子プロレス界の可能性をもっともっと広げたいって、そう思っちゃいました。欲深き黒虎に…欲深きホワイトタイガーに諦めるって選択肢はありえないんで。あと、来年私は10周年になります。来年はホワイトタイガー、SLKの年にしたい! そして、2024年最後にファンの皆さんと自分自身に最高のプレゼントを贈ることができて、最高に幸せです。今日は本当にありがとうございました!」

【なつぽいの話】「また獲られちゃいました。キッちゃん、おめでとう。私は白いベルトが好きなんです。あのベルトが大好き。あのベルトに夢をもらったから、私も白いベルトでたくさんの人に夢を与えたい。その気持ちはまだ変わらない。白を落としたら次みたいな、そういうのが多かったかもしれないけど、私はあのベルトを絶対に獲り返す。2025年、なつぽいは爆走するって言ったよね。白が大好きだけど、白だけしか狙わないわけじゃないかもしれない。獲れるもんすべて獲って、ここからまた立て直していきますよ。キッちゃん、ちょっとの間だけ貸しといてあげる。キッちゃんからもう一度なつぽいが獲り返すから」