ヒートショックから身を守るのに重要視されるのが「血管の柔軟性」だ。不摂生な生活習慣がリスクを高めてしまうようで、

「一番のチェックポイントは『動脈硬化』。弾力を失って硬くなった血管は、急激な血圧の変化に耐えることが難しい。そのため、糖尿病、高血圧、脂質異常などの生活習慣病の治療をしている人はリスクが高くなります。あと、喫煙も血管を硬くしてしまうリスク因子となります」

 同様に睡眠の質も、予防策として重要な要素となってくる。

「末梢血管の収縮と拡張には、交感神経と副交感神経のメカニズムも深く関係しています。例えば、睡眠不足の時に体が火照ってしまうことがあると思いますが、これも自律神経の乱れが影響しています。つまり、睡眠不足があまりにも常態化してしまえば、過剰な血管の収縮や拡張が起こりかねません。とりわけ、いびきをかく人は『睡眠時無呼吸症候群』によって、動脈硬化が進んでいるケースもあるだけに、よりリスクが高い」

 そして食事や晩酌後、すぐに入浴するのも「×」で、

「消化管に血液が集中するため、血圧が低下してしまいます。食事後に眠くなるのは脳への血流が減少するからです。アルコールが入る場合は、さらにリスクが上がります。末梢血管まで血流が流れた状態で湯船に浸かろうものなら、急激な血圧の低下は避けられません。酔っ払いは血圧が低下するタイプのヒートショックに見舞われやすいのです」

 気をつけるべき年齢は40歳以上。家族を含めた既往症もチェックするべし。

「めまいなどが一時的なものであれば安静第一ですが、常態化するようであれば大問題。しかも、激しい頭痛、意識障害、胸背部痛、胸部圧迫痛の場合は脳血管や心臓大動脈など命にかかわる疾患を抱えている可能性が高い。ただちに救急外来を依頼するようにしてください」

 結局は規則正しい生活が最善の予防策となる。

生活習慣病を予防してください。週に2~3回はジョギングなどの有酸素運動を行うことが『適度』と言われる運動量でしょう。また、昨今の物価高でエアコン代も高くなりましたが、暖房をケチることは命取りになりかねない。しっかり部屋を暖かくして冬を乗り越えてください」

 何事にも冷えは万病のもとなのである。

【「ヒートショック」チェックシート(13)】

セルフチェックで8点以上なら近くの医療機関へGO!

(1)ここのところ睡眠が不足している 1点
(2)味の濃いものを好んで食べる 1点
(3)シャワーやかけ湯を体の中心からかけがちだ 1点
(4)湯船の温度は42度以上じゃないと気が済まない 1点
(5)浴室に暖房設備がない 1点
(6)入浴前に水分を摂らない(アルコール以外)1点
(7)喫煙習慣がある 2点
(8)自宅の脱衣所に暖房設備がない 2点
(9)お風呂でのぼせやすい体質だ 2点
(10)飲酒後に入浴することが多い 2点
(11)いずれかの生活習慣病に該当する 2点
(12)いびきをかいて寝ている 2点
(13)風呂上がりに頭がズキズキする(胸が痛い)6点
(9)歩くスピードが遅い 2点
(10)会話中に聞き直すことが増えた 2点
(11)家族からテレビやラジオの音量が大きいと注意される 2点
(12)今日が何月何日なのかわからない 2点
(13)周囲からいつも同じ話をしていると言われる 4点
(14)15分以上歩くことができない 4点
(15)1人では立ち上がれない 8点

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