『パンダコパンダ』を未視聴の人の多くが、この作品に対してとある「勘違い」をしているようなのです。それはいったい……。
『パンダコパンダ』50周年記念のイラスト (C)TMS
【画像】パンダの頭にかぶりつける? こちらが12月6日開店の「パンダコパンダレストラン」メニューです(3枚)
いかにも毎週やっていたような雰囲気ではなかったでしょうか?
1972年(昭和47年)に日本と中国間の国交回復を記念して、中国から日本へ2頭のパンダ「ランラン」と「カンカン」がやってきてくれました。空前のパンダブームのさなか、とある名作アニメが生まれます。宮崎駿さん、高畑勲さん、のちの「スタジオジブリ」の両巨頭がそれぞれ脚本、演出を担当したアニメ『パンダコパンダ』です。
【あらすじ】
小学生の女の子「ミミ子」は一緒に暮らしていたおばあちゃんが法事へ出かけて、しばらくひとり暮らしをすることになりました。そこへパンダの親子がやってきて、あっという間に仲良しに。女の子とパンダ2頭の不思議な共同生活が始まったのでした。
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三鷹の森ジブリ美術館の公式サイトでも「高畑勲・宮崎駿コンビにとって、今なお一番大切な作品」とうたわれており、令和の現在もなお子供たちを夢中にさせるだけの力を持っています。
さて、この『パンダコパンダ』が世に出されてから半世紀以上が経過した今日において、この作品をリアルタイムではなく「後追い」で知ったという人も多いでしょう。
本作品を観ていなくとも、パパンダとパンちゃんのビジュアル、はたまた「♪パンダ・パパンダ・コパンダ」というゴキゲンな主題歌を口ずさめる人もたくさんいるはずです。ところが、そんな断片的な情報は持っている「後追い世代」であっても、その多くが、この作品に対して次のような勘違いをしているようなのです。
すなわち『パンダコパンダ』は「TVアニメ」シリーズとして放送されていた、という勘違いです。
実際は「TVアニメ」シリーズではなく、『パンダコパンダ』は劇場用アニメでした。「東宝チャンピオンまつり」に含まれる1本であり『ゴジラ電撃大作戦』『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』と同時上映されました。
従って上映時間は「34分」しかありません。翌年1973年には続編『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』も公開されましたが、こちらも『ゴジラ対メガロ』と同時上映ということで上映時間は「38分」でした。
現在、各動画配信サービスで『パンダコパンダ』を視聴することが可能となりました。エピソード数が「2話」しか表示されないので「権利関係の問題かなあ」などぼんやりとした勘ぐりをした人もいたことでしょう。と、いうか筆者がそのひとりです。
思えば2話しか表示されないのは当然のことで、『パンダコパンダ』はそもそも劇場用の中編アニメ2篇のみの作品でありました。このボリュームで今なお続く「パンダ人気」の礎(いしずえ)となっているのですから、改めて「高畑勲・宮崎駿コンビ」をはじめとした制作チームの鬼才ぶりに驚かされます。
それにしても法事に出かけたミミ子のおばあちゃん、いつ帰ってくるのでしょうね。