筆者にとって残念な点

もうひとつ欠点があった。このRF28-70mm F2.8、最大撮影距離が大きく、寄れないのだ。

実は、筆者にとっては、これがこのレンズの一番残念な点だった。

まず、RF28-70mm F2.8の望遠側で可能な限り近寄って撮影。AFでピントが合うのはこの画角まで。


(RF28-70mm F2.8 IS STM、焦点距離70mm、F2.8、1/100、ISO100、EV±0、フラッシュ発光、カメラ: EOS R6 Mark II)

開いてみると周囲がボケてはいるが、製品の詳細撮影をするには少し寄り切れていない(まぁ、解像度を必要としないウェブ記事ならトリミングという手はあるが)。ちなみに最大撮影倍率は0.24倍。


(RF85mm F2 MACRO IS STM、焦点距離85mm、F2.8、1/100、ISO320、EV±0、フラッシュ発光、カメラ: EOS R6 Mark II)

対して、RF85mm F2なら、ここまで寄れる。iPhoneの超広角カメラのレンズの撮影の記事なら、この写真の方が細かい情報を伝えられるだろう。ちなみに、最大撮影倍率は0.5倍である。

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レンズ選びとは自分に必要な要素の取捨選択

というわけで、明るくて、コンパクトで、価格もリーズナブルであることに間違いはない。STMであることのデメリットはもはやあまりないから、とてもいい選択肢だと思う。

筆者の取材シーンでいえば、これ1本で、普段使いの取材の多くのシチュエーションで使えるし、ボケ味を演出してポートレートカットなどにも使える。とても便利なレンズだ。

一方、若干、足りない点としては、ワイド端、ズーム端の不足だろう。ポートレートなどで使うなら問題ないが、取材などで部屋全体を写したいとか、立ち位置が変えられないけど、もっと寄りたい……というようなシチュエーションはまま起こりえる。

そして、筆者にとって一番の問題点は寄れないこと。商品写真を撮ることが多い筆者としては、RF24-105mm F4-7.1やRF85mm F2を手放して、このRF28-70mm F2.8に絞る……ということはできないと感じた。もちろん、買い足せる経済的余裕があれば欲しいレンズなのだが。

手軽にフットワークよくポートレートを撮ったりするのにはとてもいいレンズだと思う。欲しいけど、惜しい。筆者にとってはそう感じるレンズだった(もちろん、その性能が欲しいならお金を出せという話である)。つくづくレンズ選びとは、取捨選択なのだなぁ……と思う。

(村上タクタ)