かつてロナウジーニョと親交を深め「夜の最強コンビ」と呼ばれた元Jリーグ得点王が逮捕される不祥事。酒と女性に溺れていなければ…【現地発】

 ブラジル代表の一員として自国開催の2024年ワールドカップに出場し、コパ・リベルタドーレス、ブラジル全国リーグ、さらにはJリーグでも得点王に輝いた名CFが12月18日、子供(婚外子)への養育費不払いのため母国で逮捕された。留置場で一晩過ごした後、養育費を支払い、翌日、釈放されている。
 
 妻との間に2子がいる他、複数の女性との間に婚外子が6人いる。今回逮捕されたのは、婚外子の1人への養育費が不払いで、その母親に訴えられたから。24年5月にも同様のケースで逮捕されており(やはり支払って1日で釈放された)、さらに別の女性からも訴えられている。私生活は、無茶苦茶と言っていい。
 
 ジョー、37歳。身長192センチで高さと強さを備え、スペースへ走り込んで左足から強烈なシュートを放つのが持ち味だった。
 
 名門コリンチャンスのアカデミー育ちで、2003年にデビューして16歳4か月で初得点。CSKAモスクワを経て、2008年には推定移籍金2400万ユーロ(約39億円)でマンチェスター・シティへ。しかし、出場機会が少なく、レンタル移籍でエバートン、ガラタサライと渡り歩き、2011年に母国に戻ってインテルナシオナウ、さらにはアトレチコ・ミネイロでプレーした。
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 しかし、欧州での成功を逃したことで自暴自棄となり、夜遊びと酒に逃げた。アトレチコ・ミネイロではやはり遊び人のロナウジーニョと親交を深め、「夜の最強コンビ」と呼ばれた。
 
 その後、妻の勧めでキリスト教福音派に入信し、「改心して別の人間に生まれ変わった」と宣言。2018年に名古屋グランパスに移籍すると、1年目のシーズンに24得点を挙げてJリーグ得点王に輝いた。
 
 しかし、このような状況は長くは続かなかった。2020年、名古屋に無断で母国に帰り、コリンチャンスと契約。名古屋はFIFAに契約違反を訴え、コリンチャンスが名古屋へ賠償金を支払った。
 
 そうまでして入団したコリンチャンスでも遊び癖が直らず、2年で退団。2023年2月に引退を表明したが、24年初めにブラジル2部のアマゾナスで現役復帰。9月にはブラジル4部イタビリットに移籍したが、まだ1試合も出場していない。
 
 22年間のキャリアで732試合に出場して225得点は称賛に値する成績だ。もし夜遊び、酒、女性に溺れていなければ、偉大なストライカーになっていたのではないか。今後、社会人として立ち直ってもらいたいが、予断を許さぬ状況だ。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。

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