錦織圭などの活躍以降、「テニス選手になりたい!」「子どもをテニス選手にさせたい!」と考えているジュニアや親が多くなりました。しかし、どうすればプロになれるのか、その道筋は意外に知られていません。
ヨーロッパではジュニアがプロになるための道筋がとてもわかりやすくなっていますが、島国であり、まだテニス先進国とは言えない日本で、プロになって世界で一握りしかいないトップ選手として活躍できるようになるのは至難の業です。その一握りの可能性をつかめるように、まずはプロになる方法を伝授していきましょう。
今回はプロになるまでの大まかな流れを紹介します。解説は、プロとしてツアーを回り、引退後はMTSテニスアリーナ三鷹を運営しながらコーチとして選手を指導している増田健太郎氏です。
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テニスは何歳から?その後は?
何歳からテニスを始めて、どのようにテニスと接していくのがいいのでしょうか?
「僕は3歳から始めていますが、誰に聞いてもみんなスタートは早いです。3、4歳というのは普通です。テニスは様々な技術が必要なスポーツなので、おおよそ10歳がリミットだと思います。早ければ早いほど可能性が高くなると言えるでしょう。今はスクールでも4歳から入れる所もありますから」
「そして本格的にテニスを始める年齢になる前に、どれだけテニスに関わる時間を作れるかが重要になってきます。例えばスクールに週1回行って、週末は家族で1回テニスをするなどです。スクールの週1回のテニスも長く続けていてはいけません。 どんどん週2回、3回と増やしていきます」
「本当にプロになりたいのであれば、小学校2、3年の段階で週5、6回テニスをするぐらい、比重を高めていくのが理想です。小学校低学年ぐらいになると育成コースがあるスクールやアカデミーがあるので、そちらに移行していく時期になります。育成コースに入った後はテニスの腕を磨いて、海外留学や本格的にジュニア育成を行なっているアカデミーへの移動など、色々な選択肢が出てきます」
14歳以下でトップにいれば遠征の負担減に
小学校5、6年になると、全国大会が始まります。そして、13歳になると国際大会であるITFジュニア大会にも出場できる年代になってきます。ITFジュニア大会出場にはどのようにつなげていけばいいのでしょうか?
「14歳以下では間違いなく国内の大会で上位にいる必要があります。少し早いかもしれませんが12歳以下でも全国で少しは勝てているといいですね。14歳以下でトップにいると、ナショナルジュニアチームとして登録されるので、遠征へのチャンスも大きく膨らむため、ITFジュニアにスムーズに移行できます。僕が3歳でテニスを始めて、小学校3年から本格的にやって、12歳や14歳を迎える時にはトップにいるべきというのは、このためです」
14歳以下からはワールドジュニア国別対抗戦があり、そこでメンバーに選ばれることが重要ということですね。例えば選ばれなかったとしても、個人で海外遠征に行っておくことは必要でしょうか?
「大会という点では、僕は10歳以下からオレンジボウルに出場していました。今はバーンアウトが多くなって10歳以下はなくなったと思います。僕もジュニア時代に1年間留学をしていますが、早いうちに海外を経験することは、英語に馴染めることもあり非常に良かったと感じています」
「ただし、個人で海外遠征に行こうと思うと経済的にかなり大変です。3大会に出場しようと思うと3週間は海外に滞在することになりますから。海外遠征を引率してくれるアカデミーに加わるなどした方が現実的だと思います。国内でもITFのジュニア大会は開催されていますので、そういう大会から出場していくのもいいと思います」
~~後編へ続く~~
取材・文●スマッシュ編集部
※スマッシュ2017年7月号から抜粋・再編集
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