2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初公開日は同年7月18日。年齢や固有名詞等は公開時のままとなります。 ※  ※  ※

ドラマの空気になじむかが鍵

 また、地上波の連続ドラマを執筆する脚本家のBさんは、過去の経験からこう言います。

「一般的にコントを主戦場とする芸人さんは演技がうまいと言われていますが、全員がそうではありません。コントは、ある程度の演技の誇張がある方が伝わりやすく、特徴ある喋り方や棒演技でも笑いの内容が伝われば良しとされますからね」

 以前、自身の作品に芸人が起用され期待したところ、演技力が低くガッカリしたことがあるそう。大御所でない限り、脚本家に強いキャスティング権はないそうですが、Bさんは今後自分のドラマで芸人が候補に挙がった場合、本職での立ち回りを見た上で助言したいそうです。

 オファーが続く芸人はそもそものコントの演技が自然か、あるいは「リアルなドラマ演技」と「デフォルメされたコント演技」との切り替えが巧みな人ということなのでしょう。

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爪痕を残そうとせず謙虚に演じる



チャラいだけじゃない(C)日刊ゲンダイ

 また、前出の制作会社勤務のAさんはこうも言います。

「『本職は芸人』という矜持があるからなのかもしれませんが、役者としても成功している芸人さんは、ドラマの中ではいい意味で謙虚に自分の役割を演じきっているように見えます。変に幅を見せようとせず、キャラを作品の中に溶け込ませるのがうまいんです。

 その中でもオリエンタルラジオの藤森さんはチャラいキャラの印象はありつつも、シリアスにもコミカルにも演じ分けることができ、その違和感がないのがいいですよね」

 戦場であるバラエティは、笑いのスキルを見せたり、目立って爪痕を残すことが良しとされていますが、ドラマや映画ではその逆で、監督の思い描く通りに演技することが求められています。

 オファーが続く人は作品や現場の空気感を読むことが本職の俳優さん並みにうまい、そして安定した演技の信頼感を制作者側に与えている人なのでしょう。