この画像には「いっかくじゅう座R2」という分子雲が映っています。NASA(アメリカ航空宇宙局)のWISE(広視野赤外線探査衛星)が赤外線でとらえた画像です。

生まれたばかりの星に照らされ明るく輝く塵の領域が目立っています。よく見ると、その周囲には赤い色の星が数十個も点在しているのがわかります。それらはまだ形成過程にある、はるかに若い星です。

最も明るい領域は「NGC 2170」としても知られています。可視光で見ると、大部分は塵の雲に隠れています。

この画像では、青とシアンは主に星から出る3.4μmと4.6μmの波長の光で主に星の光を示しています。緑は主に「多環芳香族炭化水素(PAH)」として知られる炭素を多く含む塵から出る12μmの光、赤は主に温かい塵から出る22μmの光を表しています。

(参考記事)色鮮やかな美しき反射星雲NGC 2170

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/IPAC

2024年11月に最終データがリリースされた

WISE(広視野赤外線探査衛星)は2009年12月に打ち上げられたNASA(アメリカ航空宇宙局)の赤外線天文衛星です。もともと全天のサーベイ観測を行っていましたが、2011年2月にいったん運用を終了し休眠状態になりました。

その後、2013年10月から運用を再開し、地球近傍天体を探索することになりました。休眠明けからのミッションはNEOWISE(地球近傍天体広視野赤外線探査衛星)と呼ばれます。NEOWISEは2024年7月で科学観測を終了し、11月14日に最終データがリリースされました。冒頭の画像は、それを記念して公開された6点の画像のうちの1点です。

(参考)
WISE衛星が赤外線でとらえたカリフォルニア星雲
WISE衛星が赤外線でとらえたヤモリ星雲

(参照)NEOWISE Project