取材でお会いしているIT系の方を見ていると、当たり前のように英語を使いこなす方が多い。ビジネスシーンにおいては、英語を使えるか否かが大きく成果を左右する。一方、義務教育から高校まで6年、大学まで含めると多くの人が10年も英語を勉強しているにもかかわらず、『英語が苦手』と思っている人は多い。そんな中、AIを利用した英会話アプリ『スピークバディ』が300万ダウンロードを記録しているという。英会話アプリで、英語力は上がるのか? 1年間使って試してみた。

スピークバディ

https://app.speakbuddy.me/

英語が苦手な筆者が、英会話アプリに取り組んでみた

他人ごとのようなリード文を書いてみたが、筆者は英語がすこぶる苦手である。

「え? 海外取材にも行ってるんだから英語できますよね?」と言われるが、アップルの発表会には同時通訳の方がいらっしゃる。たまに、この誤解から英語オンリーのイベントの取材に呼ばれて、目を白黒させながら取材したこともある(いただいた書類や、録音を機械翻訳してなんとか切り抜けることができるのも長年の記者生活の経験)。


記事を見るとバリバリ海外で取材しているように見えるかもしれないが、実は英語が不得手。

そもそも、中学から大学まで約10年も英語を勉強して、なぜこんなに英語がしゃべれないのか不思議だが、中学1年生の時に授業についていけず、そのまま10年を過ごしてしまった。

海外旅行にも行くが、最初が1カ月ブラジル、次に1カ月インド、次に1カ月ヨーロッパ……と、あまり英語が通じない国を旅行し続けて、身振り手振りで切り抜けられるということを学んでしまった(最悪の場合は絵を描く。絵は得意なのだ)。

「絶対に、英語が必要じゃない仕事に就こう」と思っていたのだが、バイク雑誌時代には、ハーレーやBMWの本社に取材に行ったり、海外サーキットでの試乗会に行ったり、ラジコン飛行機時代にもさまざまな海外イベントの取材に行ったり……そして、当然ながら現在のIT系メディアでも英語力が必要とされる。

「観念して英会話教室に行くか……」「いや、時間もお金もない」「いまさら勉強するなんて……もっと若い時にやっておけば良かった」……などなどいろんな思いが錯綜する。

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話せるような、話せないような……

親のコンプレックスの裏返しか、子供たちは英語が得意だ。

「パパはしゃべれるのに、『しゃべれない』と思い込んでるだけだよ」とは、海外生活5年目になる娘の談。「ラテン系の人とか、単語3つ知ってたら、『オレは○○語をしゃべれる』って言ってるよ(笑)」とのこと。

たしかに、ラジコン飛行機のイベントを5日間取材して1冊の雑誌を作ったりしていたのに、聞かれると「ダメダメ、全然しゃべれないんです!」と言うのも変な話だ。我々はなぜ、「全然しゃべれない」と思っているんだろう?


旅慣れてはいるので、行動するのに不自由はない。ただ、詳しいインタビューとなるとちょっと無理。

ひとつには、学校教育が減点方式になっているからで、ダメ出しをされるたびに『英語が苦手』という思いが積み重なっていくのだろう。また、「恥ずかしい」という思いも強い。インドの街中では、下手な英語で話すことができるのに、日本のオフィスに英語圏の人からかかってきた電話に(同僚の前で)出るのは死ぬほど恥ずかしい。

つまり、『通じりゃOK』という思いを強くしてくれて、『恥ずかしい』がなければ、もしかしたら、筆者は英語が上達するのかもしれない。