あけましておめでとう! 今年は西暦2025年だね! ところでこの「2025」って数字、実は性質が面白いんだよね。有名な性質や、数学的には成立するのが当然、ってものもあるんだけど、知らない人も多いと思うから、以下の記事では2025という数字がどんな性質を持つのかを解説するよ。
※本記事において別途断り書きがない場合、「数」や「数字」という言葉は「自然数 (1以上の正の整数)」を表すものとします。
九九には2025が出てくる!
【▲図1: 九九の答えを全部足すと2025が出てくるんだよね! (Credit: 彩恵りり)】
SNSなどでもチラホラ出てきている話題なので、もしかすると知ってるよって人も多いかもしれないものとして、九九の答えを全て足した合計値 (総和) は2025、というものがあるよ! 九九では1×1=1から9×9=81まで81個の答えが出てくるけど、その全てを足すと2025になるんだよね。
九九の答えの総和が2025になるかどうかは、全ての数字を力技で足し算をしても確かめられるけど、もう少し賢い方法があるよ。まず1の段に注目すると、1×1=1、1×2=2、1×3=3……1×9=9となり、その合計は1+2+3+4+5+6+7+8+9=45となるよね。次に2の段について、1の段と比べながら注目すると、2×1=2で1×1=1の2倍、2×2=4でこちらも1×2=2の2倍……と、全て2倍の値になってることが分かるかな? つまり2の段の合計は45×2=90となるよ。
同じ理屈で、3の段の合計は45×3=135、4の段の合計は45×4=180……9の段の合計は45×9=405となるよ。ある段の合計値は45の倍数なので、これは結局のところ45で全てくくることができるよ。
よって九九の答えの総和は、45×(1+2+3+4+5+6+7+8+9)=45×45=2025だとわかるわけだね。
西暦2025年=昭和100年はどちらも平方数の年
前章では、九九の答えの総和を求める方法の中で45×45が出てきたよね? 指数表記では45²として表せる、同じ数を2個掛け算して得られる数のことを「平方数」と呼ぶよ。
つまり、45×45=45²=2025である西暦2025年は平方数の年と言えるよ。西暦が平方数となるのは、前回は88年前の1936年 (44²) 、次回は91年後の2116年 (46²) なので、前回を経験した人や、次回を経験する可能性がある人はいるかもしれないけど、今年を含め3つとも経験する人はまずいないので、以前を経験した人や次に経験するかもしれない人にとっては貴重な経験になると思うんだよ。
【▲図2: 西暦2025年は昭和100年であり、西暦と昭和が共に平方数である初めての年だよ。 (Credit: 彩恵りり) 】
そして西暦2025年は、昭和で表すと昭和100年というキリの良い数値になることも話題となっているね。この100という数値も10²で平方数な訳だけど、西暦と昭和が共に平方数となるのは今回が初めてだよ。このような年は、次回は576年後の西暦2601年 (51²) =昭和676年 (26²) までないので、割と滅多にない事態になっているよ!
2025と平方数と立方数との関係性
同じ数を2個掛け算して得られる数のことを平方数と呼ぶ、と説明したけど、似たような性質を持つ数として、同じ数を3個掛け算して得られる数のことを「立方数」と呼ぶよ。
実は、平方数と立方数には面白い関係性があることが知られているよ。九九の答えの総和を求める式を思い出してもらいたいけど、2025=45²として出てくる45は1+2+3+4+5+6+7+8+9に等しいよね。45のように、1から連続した自然数を全て足して現れる数を「三角数」と呼ぶよ。
1からnまでの自然数を足して現れる三角数の平方数、つまり(1+2+3+……+n)²は、実は1³からn³までの連続する立方数の総和、つまり1³+2³+3³……n³に等しいんだよね! もう少し深く知りたい人向けに解説すれば、1³からn³までの総和の一般式は(n²×(n+1)²)/4となり、これは1からnまでの総和 (n番目の三角数) を表す一般式(n×(n+1))/2の2乗になっている、ということで証明できるよ。
【▲図3: 2025は平方数であり、三角数の2乗で表されるので、連続する立方数の総和でも求められるよ。 (Credit: 彩恵りり) 】
つまり2025という数字は、以下のような結びつきがあることになるよ。
2025=45²=(1+2+3+4+5+6+7+8+9)²=1³+2³+3³+4³+5³+6³+7³+8³+9³
数学的にはすぐに分かる性質ではあるんだけど、ちょうど九九の答えの総和とも等しい、という点で、ちょっと面白いと私は思うんだよ。
その他の2025の性質
記事の終わりとして、その他2025にはこういう性質もあるよ、ってことをまとめて書いておくね。
【▲図4: ハーシャッド数やカプレカー数は初めて聞いたと言う人もいるかもだけど、割と簡単な定義になるよ。 (Credit: 彩恵りり) 】
◆2025を1桁ずつに分解して足すと、2+0+2+5=9=3²であり、全桁の数字を足した数も平方数になる平方数になるよ。このような数は前は1681、次は2304だよ。
◆上記に関連して、9は2025の約数 (その数を割り切ることができる数) だけど、このように桁を足して自分自身の約数が現れるような数を「ハーシャッド数」と呼ぶよ。実は2022から2025までは連続してハーシャッド数だったんだけど、この連続は今年で終わり! 次は2028となるよ。
◆2025の各桁の数字を1つずつ増やした数は3136だけど、3136も56²で表される平方数だよ。このような性質を持つ数は前は25、次は13225だよ。
◆2025は45の平方数だけど、2025を桁の半分で分割して足すと20+25=45と、平方数の素となる数 (冪根) が現れるよね。このような性質の数は「カプレカー数」と呼ばれ、前は81、次は3025だよ。
【▲図5: 2025はパワーナンバーだし、ピタゴラスの4つ組数にも出てくるよ。そしてインターネット上でよく見るエラーの組み合わせでもあるかも? (Credit: 彩恵りり) 】
◆2025を素因数分解すると3⁴×5²であり、素数3と5で割り切れるのは当然として、それぞれの平方数である9と25でも割り切れるよ。2025のように、ある素数pとその平方数p²の両方で割り切れる数のことを、英語では「パワーナンバー」と言うパワーワード (?) で呼んでいるよ。ただ、ここでいうパワー (power) とは、冪乗を意味する数学用語なので、日本語では「多冪数」と堅苦しく訳されるよ。
◆x²+y²=z²の三平方の定理が成立する自然数xyzの組み合わせを「ピタゴラス数」とも呼ぶけど、これを拡張してa²+b²+c²=d²が成立する自然数abcdの組み合わせを「ピタゴラスの4つ組数」と呼ぶことがあるよ。5²+8²+44²=45²=2025なので、それぞれの辺の長さが5と8と44の直方体を斜めに横切る線には2025が現れることになるよ。
◆2025=401+403+405+407+409とも表せるよ。だからどうだってんだって感じかもだけど、インターネットを使う上では400番台のエラーってちょくちょく見ないかな?
(文/彩恵りり・サムネイル絵/島宮七月)
<参考文献>
オンライン整数列大辞典 (A000290 / A000537 / A001694 / A053057 / A053742 / A062739 / A117755 / A169580 / A238237)