【RIZIN】業界期待の超新星の連勝を止めたベテランの意地… 35歳・元谷友貴が18歳の爆発力を抑えることができたワケ

 若い選手の活躍は、いつも気持ちがいい。業界に新風が吹き込まれ、風景が一変する。

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 2024年、RIZINに新風を吹き込んだのは秋元強真だった。プロ5戦5勝でRIZIN参戦を決めた秋元は2006年生まれの18歳。朝倉兄弟が率いるJAPAN TOP TEAMのメンバーだ。

 RIZINデビューは9月大会。UFCと契約した朝倉海、平本蓮に敗れた朝倉未来と入れ替わるように登場したそのタイミングも“スター誕生”を思わせた。
  初戦で金太郎をKO、11月には鈴木博昭に判定勝ちと、連続で格上の選手を食った秋元。その打撃は規格外のインパクトだった。朝倉海も、秋元がRIZINのトップに立つことを予言している。

 スター街道に乗った秋元に、さらなるチャンスが訪れる。大晦日イベントで対戦が決まったのはバンタム級トップの一角である元谷友貴。井上直樹が保持するバンタム級タイトルへの、次期挑戦者決定戦だ。秋元は、勝てばRIZIN4戦目でのタイトルマッチということになる。

 テクニックや経験値では35歳の元谷が上。しかし秋元の打撃は爆発力があり、キャリアの差も一気にひっくり返すのではないか。そういう予想もあった。期待感と言ってもいい。

 そんな新時代への流れを、元谷は鮮やかにせき止めた。打撃の展開に持ち込ませず、組み付くとバックを奪う。2ラウンド、3ラウンドも同じ状況が続いた。秋元に局面を打開させないのだ。それだけ隙がなかった。

「想定よりも組みが強かった。一つ逃げても次がくる。あそこから逃げるのは得意なんですけど」

 元谷の寝技について、秋元はそう振り返った。一方、元谷は秋元の寝技を評価している。

「試合内容としてはしょっぱかったです。秋元選手はバックを取られた時の首の対処がしっかりしていた」
 一本取ることができなかったのは、それだけ秋元が強かったからだという。ただ見ている側からすると、秋元を“完封”した元谷の強さがより光っていた。

「相手はあまり劣勢になったことがない。その分、自分が有利かなと」
  タイトル戦線で闘いながらも朝倉海にKOされるなど、苦い敗北もあった。勝率は悪くないのに、なかなかタイトルに手が届かない。苦労してきた経験が、若い秋元との試合で活きたということだろう。
  この勝利で井上とのタイトルマッチが決定。3月30日、RIZIN初開催となる香川大会がその舞台となる。井上には2020年大晦日に一本負け。元谷にとってはリベンジマッチでもある。

「できるだけ早くアメリカに行って“作り”たい」

 元谷は言う。現在、彼は堀口恭司と同じアメリカン・トップチームに所属している。このところの闘いぶりを見ると、アメリカで一段階深いMMAを身につけたようにも思える。

 大晦日の試合を終え、普通なら正月休みを家族と過ごすのだが、そうも言っていられない。

「アメリカで練習するスタミナをなくさないためにも、日本でも練習しないと。家族に会うのは週末だけです。妻にも今回は『それでいいよ』と言われているので」

 ベルトを巻くまでは、他に何も考えられないといったところ。その執念が、タイトルマッチでも最大の武器になるはずだ。

取材・文●橋本宗洋
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