死闘の末に敗れた鈴木千裕は弟子入り志願…王座返り咲きのクレベル・コイケが見据える3度目の対決「必ずもう一度挑戦してくると思う」

 中継の解説を務めた高阪剛も言っていたように、まぎれもない“死闘”だった。おそらくどちらの選手も、限界を超えて闘っていた。

【RIZIN 画像】鈴木千裕が判定負けで王座陥落!激闘の3大タイトルマッチを特集!
 RIZIN大晦日大会(さいたまスーパーアリーナ)。2024年は3つのタイトルマッチがラインナップされ、その最終試合はフェザー級。チャンピオン・鈴木千裕がクレベル・コイケと対戦した。
 
 両者は2023年6月に対戦。その時はクレベルがチャンピオンだったが、体重オーバーで王座剥奪となっている。それでも試合ではクレベルが腕十字を極めてみせた。公式記録はノーコンテストだ。

 そして空位になったベルトを鈴木が獲得。ヴガール・ケラモフに勝ってチャンピオンとなり、クレベルに完勝している金原正徳も倒した。一方、クレベルも金原戦後は2連勝。お互いが強さを示した上でのリマッチが実現する。

 試合のポイントは明白だった。鈴木は強烈なパンチを武器とするストライカー。対するクレベルは柔術家だ。KOか一本か。フィニッシュ力が極度に強い選手同士のタイトルマッチでもある。

 個性が両極端だからこそ緊張感のある試合。1ラウンドからクレベルがグラウンドに持ち込むことに成功する。鈴木もテイクダウンディフェンスには注力していたはずだが、クレベルは引き込んでみせた。

 引き込みは自ら下になるため不利なのだが、そんな常識はクレベルには通用しない。引き込んだところから巧みに体勢を入れ替え、自分が上に。そこから“極め”を狙っていく。

 一度、寝技に持ち込まれたらそれで終わり。そんなイメージもあるクレベルだが、鈴木はここから粘りに粘る。防戦状態とはいえ、クレベル相手にここまでグラウンドで極めさせないこと自体が鈴木の成長を物語っていた。

 日付が1月1日に変わったところで、最終3ラウンドがスタート。またも引き込まれた鈴木だが渾身のパウンド、ヒジを落とす。クレベルは出血しながらも三角絞め。総力戦の中で最後はマウントポジションを奪い、ノンストップのラッシュだ。

 判定はクレベル。王座返り咲きである。やはり、その寝技は強力だった。解説の川尻達也曰く、ハマったら抜け出せない「蟻地獄」。しかし鈴木が差を縮めたことも間違いない。

「三角絞めをエスケープしてガードポジションに戻したり、千裕も進化していたね。でも僕は三角だけの選手じゃない。ずっとコントロールできた。メンタルでは絶対に負けないと思ってた」

 試合後のクレベルはそう語っている。2度目の対戦で鈴木が対策してくることを見越し、その上で我慢比べ、根性の競り合いになると腹を括っていた。

「やれることをやり切る。神様とそう約束していたんだ。去年の目標はベルトを取り戻すこと。今年(2025年)は防衛することが目標だね」

 そんなクレベルに、鈴木は“弟子入り”志願する。

「ここでやめたらすべて無駄になる。なんでもやります。クレベルと話して、彼に勝つために彼に教わりたい」

 ここからまた新たなドラマが始まるのか。3度目の対戦が見たくないというファンはいないだろう。もちろんチャンピオンも受けて立つ構えだ。

「千裕はまだ若いからね。必ずもう一度挑戦してくると思う」

 その時は今回以上の“死闘”になるかもしれない。

取材・文●橋本宗洋
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