石破茂 (C)週刊実話Web
【石破政権の落日(2)】
少数与党による厳しい政権運営を強いられている石破茂首相(67)は、立憲民主党に配慮しつつ、自公国か自公維の路線に活路を見出す構え。だが、野党の主張を丸のみし、変節を繰り返す姿勢に自民党内の不満は高まる一方…。「石破おろし」の攻防戦が始まろうとしている。
【石破政権の落日(1)】“石破おろし”の攻防戦開始 国民民主党との連携は政権維持の生命線「頼みは他党の有力議員」
「首相と野田佳彦代表は気心が合う」
衆院選でボロ負けし、少数与党となった石破政権にとって今や国民民主との連携は政権の生命線とも言えるが、実は首相が政権維持のために触手を伸ばしている相手は同党の玉木雄一郎代表だけではない。
政府関係者によると、他の有力議員らにも直接働き掛けをしていると言われ、その代表格が立憲民主党の野田佳彦代表と、日本維新の会の前原誠司共同代表と言われているのだ。
別の政府関係者がこう明かす。
「首相は野田氏とは気心が合う。夜、執務室で野田氏の携帯に電話をして、臨時国会における政治改革の運びについて話し合っていた。首相と同じく安全保障通で、筋金入りの鉄道好きである前原氏は『盟友』でもあり、野田氏よりも気脈を通じている。維新が2024年度補正予算案に賛成したのは、首相が『力を貸して下さい』と頼んだからだ」
結果、政治改革は政策活動費廃止や、政治資金監視の第三者機関設置などを段階的に進めていくことで「首相と野田氏が握った(合意)」(政府関係者)ため、臨時国会での改革論議は紛糾を回避した。
また、前原氏とは、12月に入って教育無償化推進の協議体設置方針を確認し「維新取り込みの足掛かり」(同)までできる展開となった。
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孤立を見かねて「押しかけブレーン」も
だが、こうした野党各党に対する働き掛けだけで軌道に乗るほど、政権運営は甘くない。自民党関係者は「何とか年を越すことができただけ。政権内は官邸も党も状況は厳しい」と話す。どういうことか?
「官邸にはいまだ『司令塔』がいない。本来なら林芳正官房長官がその役目を担うべきだが、首相と仲が良いわけでなく、しっくりいっていない。そうなると槌道明宏筆頭首相秘書官に期待したいところだが、首相に近いというだけの元防衛審議官なので、霞が関の政策官庁にはにらみが利かないのです」(同)
こうした状況に、首相の「側近」を自認する同じ鳥取県出身の赤沢亮正経済再生担当相が官邸内に自室を設けさせ、財務、経済産業など主要省庁の幹部を集めては、首相に政策提言する「押しかけブレーン」(党関係者)を始めているという。
さすがに政権内に居座るとは「何様のつもりだ」(党幹部)と問題になったため、赤沢氏は部屋を閉じたものの、12月以降も議員会館の自室や、官邸近くのホテルに場所を移して同じことを続けているという。
「林氏や3人の官房副長官は不快感をあらわにしているが、首相が赤沢氏に何も言わないので改まらない。話し相手が赤沢氏しかいないから、こうした横紙破りを許してしまっている」
先の党関係者は官邸の現状を危惧するが、首相の求心力の低迷と孤立ぶりはここに極まれりといった感が漂い続けているのである。
【石破政権の落日3】へ続く
「週刊実話」1月9・16日号より一部内容を変更