テニス界はすでに2025年シーズンが始まっています。今年はどんな年になるのでしょうか。世界の男子テニスは、レジェンド、若手、中堅がいる面白い時代に入っています。
まず、ノバク・ジョコビッチがアンディ・マリーとタッグを組んで、どんなスタートを切るのかが興味深いですね。実は錦織圭選手のコーチとしてマリーがいいのではないかと、マリーが股関節の手術を受けた時に思っていたんです。まさか、あそこまでプレーできるように回復すると想像できていなかったので、プレーイングコーチをオファーしてみるのはありではないかと。だから、ジョコビッチの話を聞いた時に、「そうきたか」と思いました。
やはり、トップの選手たちが求めているものは、グランドスラム終盤などの空気感や緊張感を経験していて、自分だけが抱えている他の人とはシェアできない部分を、シェアできる存在なのでしょう。
ジョコビッチはオリンピックの金メダルを獲得したため、記録面でのモチベーションと言えば、グランドスラムのシングルス優勝回数を25回に更新して、単独最多数に躍り出ることぐらいでしょう。年齢的にも回復は難しくなっていきますし、そこでモチベーションがないと一気に落ちる可能性もあります。だからこそ、マリーと組むことでの変化やモチベーションを求めたのでしょう。それは針の穴を通すぐらいの究極のこだわりと野心の表れだと感じますうまくはまれば強いジョコビッチの復活もありえます。
カルロス・アルカラスは昨年、全仏オープンとウインブルドンを取っていますが、2023年の活躍が華々しかったぶん、少し印象が薄かった感じがします。ヤニック・シナーが目立っていたからかもしれません。アルカラスはまだ21歳ですが、全豪オープンのタイトルを取れば、キャリアグランドスラム達成になります。早いですね! 安定して上位にいますしプレッシャーもないと思うので、いつかは取れるとは思います。もちろん、それが今年の可能性もあります。
昨年の全豪オープン準優勝はダニール・メドベージェフでしたが、この年代の選手の影が薄くなってきました。現在2位のアレクサンダー・ズベレフやステファノス・チチパスもそうですが、ビッグ4がいて突き抜けられないうちに、若手が出てきた状態です。今の段階で、彼らの逆襲はちょっと難しい気がします。
シナーやアルカラスの若手たちのレベルはかなり上がっていて、想像を超える速さがあります。サッカーで言うと、強烈なミドルシュートが毎回決まっている感じです。彼らのベースラインからの打ち合いは別次元ですね。戦っている世界が違うのではないかというぐらいの破壊力があります。
ジョコビッチやメドベージェフたちの逆襲があれば面白いですし、シナーとアルカラスの2強時代となっても、彼らの対戦は見ごたえがあるでしょう。2人の純粋なぶつかり合いを存分に楽しめると思います。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
【画像】パリオリンピックで躍動した男子選手の厳選ショットを一挙公開!
【画像】引退を表明したアンディ・マリーが兄ジェイミーとの最後のダブルスに出場!試合後には涙のセレモニー!!
【画像】「全豪オープン2024」で躍動する男子選手たちの厳選ショット!